今や現代劇でも時代劇でも、多彩な演技で人気を博している俳優がユ・アインだ。彼は今年35歳になるが、一番あぶらが乗っている時期だと言える。
立派な主役をやれるだけの実績もあるし、ハツラツとアクションもできる多彩さを持っている。
それゆえ、ユ・アインが出演するドラマや映画はとても活気があるし、ヒットする作品が多い。彼が数多くのオファーを受けるのも相応の理由があることなのだ。
時代劇でいえば、2010年に大ヒットした『トキメキ☆成均館スキャンダル』で、花の四人衆の一角を占めて、ユ・アインは大人気を博すようになった。この勢いはとても大きかった。
2013年になると、ユ・アインは時代劇の『チャン・オクチョン』でヒロインのキム・テヒと共演した。
このキム・テヒが張禧嬪(チャン・ヒビン)に扮したのも意外だったが、もっと驚いたのはユ・アインが19代王の粛宗(スクチョン)を演じたことである。
粛宗というのは、朝鮮王朝でもとても重要な国王だったので、ある程度のベテラン俳優が演じることが多かった。
しかし、ユ・アインは当時まだ27歳でとても若かった。実際、「ユ・アインで粛宗の役を任せられるのか」という周囲の声があったこと確かだ。それだけに、ユ・アイン自身も粛宗を演じるにあたって悩みが多かった。
そこで『チャン・オクチョン』の制作陣は、他の作品の粛宗とはかなり違うイメージを持ってきた。
これまでの女性遍歴を重ねた粛宗ではなく、若いときから張禧嬪を愛し抜いた情熱の人として粛宗を描いたのである。
そういうイメージの変化を象徴していたのが、『チャン・オクチョン』では粛宗がヒゲをつけていなかったことだ。これは本当に異例だった。
朝鮮王朝の王族というのは、どんなに若くても成人していればヒゲをつけるのが当たり前だ。
というのは、朝鮮王朝が国教にした儒教社会ではヒゲも人体の一部であり、親から受け継いだヒゲをつけないというのは無礼に当たるのであった。
しかし、『チャン・オクチョン』の制作陣は、このドラマでまったく新しい粛宗をイメージさせるためにあえてユ・アインにヒゲをつけさせなかった。
そうした制作陣の期待に応えて、ユ・アインは今までどんな時代劇でも作り出せなかった新鮮で初々しい人物像を作り出した。
ユ・アインも、「期待と不安が半分ずつありましたが、今までの粛宗とは違うイメージをアピールできていたと思います」と語った。彼としても粛宗を立派に演じきっていた。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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