Netflixで配信中のドラマ『TRY ~僕たちは奇跡になる~』は、韓国初のラグビーを題材にした青春スポーツドラマである。物語の舞台は、勝利とは無縁といわれる弱小ラグビー部。彼らが数々の挫折を乗り越えながら、チームとして“奇跡”を目指していく姿を描くヒューマンドラマである。
【関連】『犯罪都市』『誘拐の日』俳優ユン・ゲサン、約10年ぶりに地上波復帰!韓国初のラグビードラマに主演へ
最初は監督に反発していた部員たちも、次第にその情熱と信念に心を動かされ、仲間として結束を固めていく。
笑いあり涙ありのストーリーは、単なるスポーツドラマにとどまらず、人間としての成長や再生を描いた温かい物語として幅広い視聴者の共感を呼んでいる。
物語の中心人物となるのが、ラグビー界の元スター選手であったチュ・ガラムである。
彼は薬物スキャンダルにより選手生命を絶たれ、長らく表舞台から姿を消していたが、3年の歳月を経て母校の漢陽(ハニャン)体育高校ラグビー部の契約監督として戻ってくる。
再びグラウンドに立った彼は、荒れ果てた部員たちとともに勝利への道を模索し、どん底からの復活を目指すのである。この主人公を演じているのが俳優ユン・ゲサンである。
ユン・ゲサンは、もともと韓国の5人組男性アイドルグループ“god”のメンバーとしてデビューした。
グループ活動で人気を博したのち、俳優業へと転身。以降、数多くのドラマや映画に出演し、幅広いジャンルで存在感を示してきた。特に代表作として挙げられるのが『グッドワイフ~彼女の決意~』と『チョコレート:忘れかけてた幸せの味』である。
『グッドワイフ~彼女の決意~』では、韓国の法曹界を舞台に、逆境を抱えた女性が成長していく姿を描いたリメイク作品で、ユン・ゲサンはローファームMJの代表弁護士ソ・ジュンウォンを演じた。
さらに、『チョコレート:忘れかけてた幸せの味』では、脳神経外科医イ・ガン役として出演。ホスピス病棟を舞台に、人の命と心に向き合う医師を熱演し、ヒューマンドラマとしての奥行きを支えた。イタリアンシェフのムン・チャヨンに扮したハ・ジウォンとの共演も注目を集め、ユン・ゲサンの表現力の広さを改めて知らしめた。
こうした経歴からもわかるように、ユン・ゲサンはアイドル出身という枠を越え、確かな演技力で俳優としての地位を築いてきた人物である。
今回の『TRY~僕たちは奇跡になる~』では、自身も一度挫折を経験した元スター選手を演じることで、これまで培ってきた人生観と俳優としての厚みを重ね合わせている。
挫折と再生、孤独と仲間、敗北と勝利。そのすべてが交錯するラグビーの世界を舞台に、ユン・ゲサンは人間ドラマの核心を表現している。
彼の歩んできた道のりを重ね合わせれば、このドラマは単なるスポーツ青春劇ではなく、人生の再起を描いた作品として一層の輝きを放つ。ユン・ゲサンの存在が『TRY ~僕たちは奇跡になる~』に説得力とリアリティを与えているのである。
文=大地 康
■【関連】Netflix『誰もいない森の奥で木は音もなく倒れる』出演のユン・ゲサンはどんな俳優?
前へ
次へ