振り返れば、2011年に韓国で放送された『王女の男』は、時代劇の歴史に残る大傑作だった。重鎮俳優キム・ヨンチョルが甥から王位を奪う世祖(セジョ)を重厚に演じたが、その世祖に父親を殺されて「復讐の鬼」と化す主人公キム・スンユに扮したのがパク・シフだった。
【写真】『風と雲と雨』のパク・シフの演技は9年前の『王女の男』とどう変わった
復讐を成し遂げるために手段を選ばないダーク・ヒーロー。そんなキャラを精悍に演じたパク・シフの存在感は強烈だった。放送から14年経った今でも、忘れられないインパクトを残している。
迫真の演技で『王女の男』を大ヒットさせたパク・シフの名前は一気に光り輝いた。2012年にはドラマ『清潭洞(チョンダムドン)アリス』もヒットして、パク・シフの名声は揺るがぬものとなった。
そんな絶頂期にスキャンダルが発覚した。2013年2月に女性から性的暴行容疑で告訴されたのだ。貴公子の雰囲気が浸透していたパク・シフのイメージ失墜は明らかだった。
このスキャンダルで芸能活動を長く自粛していたパク・シフ。元気な姿を見せてくれたのが『名もなき英雄〈ヒーロー〉』(2016年)だった。さらに、主役チェ・ドギョンに扮した『黄金の私の人生』(2017~2018年)は最高視聴率46%以上を獲得する超メガヒットとなり、パク・シフは華麗なる復活を果たした。
続けて、『ラブリー・スター・ラブリー』(2018年)、『バベル~愛と復讐の螺旋(らせん)~』(2019年)で主演俳優として活躍し、2020年には『風と雲と雨』で天才易者チェ・チョンジュンに扮した。『王女の男』以来、9年ぶりの時代劇だった。
「やっぱりパク・シフは時代劇がよく似合う」
素直にそう称賛できるほど、『風と雲と雨』に主演したパク・シフは「水を得た魚」だった。19世紀後半の朝鮮王朝時代を背景に、王位継承問題に影響を及ぼす大人物をパク・シフが華麗に演じて、『風と雲と雨』を歴史大河時代劇として高い評価に導いている。
以降は目立った活躍がないようだが、再びドラマで主役を演じるときは、ぜひ時代劇で颯爽とした姿を見せてほしい。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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