これが民族誕生の起源/「檀君神話」とは何か

このエントリーをはてなブックマークに追加

朝鮮半島に住む人たちの間で、民族の始祖と称されるのが「檀君(タングン)」である。彼が登場する伝説的な「檀君神話」は民族誕生の起源とされており、この神話は歴史的な物語としても非常に興味深い。また、ペ・ヨンジュンが主演した『太王四神記』(2007年)の序盤のエピソードも「檀君神話」がモチーフになっていた。そこで、「檀君神話」を詳しく紹介しよう。

【関連】古代の盛衰がよくわかる/三国時代&高麗王朝の年表

熊と虎は神話の中で何を願ったのか

〔檀君神話〕

天を支配していた桓因(ファニン)には、桓雄(ファヌン)という息子がいた。桓雄はとても心優しき男で、地上の人間社会のことをいつも心配していた。彼が人間のことを常に気にかけていたので、桓因は「人間の面倒を見てこい」と桓雄に命令を出した。

喜んだ桓雄は天から降りて行き、地上の人間社会が平和になるように尽力した。おかげで人間たちが幸せに暮らした。その様子を見ていた熊と虎は、とてもうらやましくなった。

「ぜひ人間にしてください」

熊と虎は桓雄に願いを伝えた。あまりに熱心だったので無視するわけにもいかない。そこで、桓雄は1つの条件を出した。

「もぐさ1束とニンニク20個を食べながら神に100日間祈り続けること。そうすれば願いが叶うだろう。しかし、日の光を絶対に浴びてはいけない」

熊と虎は桓雄の言葉に従い、洞窟に入って日の光を避け、ひたすら祈り続けた。けれど、だんだん辛くなっていき、虎はついに我慢できなくなって逃げ出した。それでも熊は約束を守り続け、ついに人間の女になることができた。それ以来、熊女(ウンニョ)と名乗るようになった。

やがて熊女は他の女性と同じように子供がほしくなり、桓雄に申し出た。

「子供がほしいのです。ぜひ私にも子供を授けてください」

この願いを桓雄が聞き入れてくれた。彼が熊女を妻として迎え入れたのだ。その後、桓雄と熊女の夫婦に子供が生まれた。それが檀君王倹(タングンワンゴム)である。

檀君王倹は立派な人間として成長し、自らが守る国を「朝鮮(チョソン)」と名づけた。

彼は人々に向かって言った。

「私たちの祖先は天にいらっしゃる帝です。その方が常に見守ってくださるでしょう」

檀君王倹が言う通り、「朝鮮」はみんなが平和に暮らす国として発展していった。
  
以上のような神話に描かれた国が「檀君朝鮮」である。ただし、考古学的にこの国の存在が立証されているわけではない。

「檀君朝鮮」のあとにも、朝鮮半島には「箕子(キジャ)朝鮮」「衛満(ウィマン)朝鮮」という国が続いたとされる。こうした3つの朝鮮を合わせて「古朝鮮」という。

作成=康 熙奉(カン・ヒボン)

【関連】518年間の重要な事件がわかる/朝鮮王朝の年表

【関連】『トンイ』から『イ・サン』までの重要歴史年表

【関連】王位継承の続柄がわかる/朝鮮王朝の国王一覧表

前へ

1 / 1

次へ

関連記事


RANKINGアクセスランキング

写真


注目記事