テレビ東京で放送中の『宮廷女官チャングムの誓い』では、8月20日の第45話で、イ・ヨンエが演じるチャングムが、中宗の病状について独自の見解を述べる場面がたくさん出てきた。それは、あくまでもドラマの中の話だが、実在した史実の長今(チャングム)は、中宗の診察にどれくらい関わったのだろうか。
【関連】“王様俳優”から時代劇に欠かせぬ役者になったイム・ホ
朝鮮王朝の歴史を詳しく記した『朝鮮王朝実録』において、長今に関する記述があるのは10カ所ほど。そのとき、長今は名前の先に「大」をつけた「大長今(テジャングム)」と表記されていた。それほど大物だったのだ。
実際、中宗は「余の病状は医女(長今)が知っている」と語っていて、長今のことを高く評価していた。
具体例を見てみよう。『朝鮮王朝実録』の1544年10月29日の項では、次のように書かれている。
「朝、医女の長今が内殿から出てきて『殿下の下気(ハギ)がやっと通じて、とても気分がいいとおっしゃっておられます』と言った。その後、国王は薬房にこう指示されました。『今、余の下気はいつもどおりだが、気力がまだ弱い。今、提調(チェジョ)、医員、医女の全員が来ているが、もう医員は宿直をやめて、提調も各自解散して帰っていい』」
上の言葉に出てくる「下気」には2つの意味があり、1つ目は「顔など身体の上に込み上げていった熱気が下がること」であり、2つ目は「便通がよくなること」だ。
また、提調とは「臨時に任命されてその仕事を指揮・総括した高官」を指している。中宗の病状悪化にともなって編成された医師団のトップを意味しているようだ。
改めて中宗の言葉を見てみると、「医員は宿直をやめて、提調も各自解散して帰っていい」と語っているのに、医女(長今)についての言及がない。それは引き続き「長今はそばにいなさい」と暗黙に言っているのと同じだ。
このように、長今が病床の中宗に寄り添っており、『宮廷女官チャングムの誓い』の描き方と同じく、彼女は国王から信頼されていたのである。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
■【関連】『チャングムの誓い』主演のイ・ヨンエ!セリフの中で一番記憶に残っている言葉とは?
前へ
次へ