テレビ東京の韓流プレミアで6月19日から『宮廷女官 チャングムの誓い』が始まった。朝鮮王朝の11代王・中宗(チュンジョン)の統治時代に実在したチャングム(長今)を描いたドラマだが、第1話の冒頭からショッキングな場面が登場する。それは、元王妃が毒を飲んで自害するシーンだった。
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なぜ、そのようなことになったのか。朝鮮王朝を震撼させた事件の概要を解説しよう。
518年間も続いた朝鮮王朝で、王妃が廃妃(ペビ)になる事件は何度も起こっているが、その中で最初に廃妃になったのが、『宮廷女官 チャングムの誓い』でも取り上げられた尹氏(ユンシ)であった。
尹氏は9代王・成宗(ソンジョン)の二番目の正妻だった。性格に問題があり、成宗が寵愛する側室を呪詛(じゅそ)しようと企んだ。結果的に、あくどい手口で側室を呪い殺そうとしたが、発覚して謹慎処分を受けている。
それだけではなかった。おとなしく謹慎していればよかったのに、精神が落ち着かず極度に錯乱して、こともあろうに成宗の顔を激しく引っかくという騒動を起こしてしまった。重大な不敬罪である。
結局は成宗の逆鱗に触れて、問答無用で廃妃となり、王宮を追われて実家に帰された。彼女はもともと成宗の母であった仁粋(インス)大妃に嫌われていた。最終的には仁粋大妃の意向が強く働いて、ついには死罪となってしまった。
尹氏のようにかつて高貴な立場だった人は、国王が用意した毒を飲んで自害する運命になっていた。そのような形で絶命した尹氏の息子が、暴君として悪評まみれだった燕山君(ヨンサングン)であった。親が親なら子供も子供、というわけだ。歴史的にも、尹氏と燕山君の母子は朝鮮王朝で最も評判の悪い親子になってしまった。
こうした尹氏が自害する場面を最初に取り上げたのが『宮廷女官 チャングムの誓い』であり、イ・ヨンエが演じたチャングムの父親がその事件の影響を受けるストーリーになっていた。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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