テレビ東京で4月12日に放送された『太宗 イ・バンウォン~龍の国~』の第6話では、高麗王朝の滅亡への過程が詳細に描かれていた。高麗王朝で最大の権力者となった李成桂(イ・ソンゲ)は、周囲の期待の中で新しい国王に即位する寸前にこぎつけていた。
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そういう局面になって、李成桂が信頼していた鄭道伝(チョン・ドジョン/イ・グァンギが演じている)と鄭夢周(チョン・モンジュ/チェ・ジョンファンが演じている)の立場が真っ向から対立するようになった。
鄭道伝は、李成桂を早く国王にしたくて仕方がなかった。そのために、反対する勢力に罪をかぶせて拷問まで強要するほどだった。そんなやり方に怒りを募らせていたのが鄭夢周である。彼は李成桂の実力を認めているが、あくまでも高麗王朝の存続を願い続けていた。
そういう意味では、鄭夢周ほど高麗王朝の忠臣という立場を鮮明にした学者は他にいなかった。堂々たる気骨を見せた彼の人物像をもっと詳しく紹介しよう。
生まれたのは1337年である。李成桂より2歳下だった。23歳のときに首席で科挙に合格した実績を持ち、政治の場で巧みな外交術を発揮した。また、理論に優れた大学者としても名声を得ていた。
これほどの人物なので、高麗王朝の硬直した政治システムが時代に合わないことを熟知していた。そういう風潮の中で李成桂が新しい王朝を作るという待望論が日増しに強くなったが、鄭夢周は高麗王朝に強い恩義を感じて、滅亡を食い止めようと必死に動いていた。彼なりに確固たる信念があったのだ。
結局は、高麗王朝の守り神となった鄭夢周は、『太宗 イ・バンウォン~龍の国~』の主人公である李芳遠(イ・バンウォン)とも対立せざるをえなかった。実際にドラマは進むにつれて、鄭夢周と李芳遠の決定的な対立局面になっていく。そこは、韓国の歴史の中でも特別に重要な部分になっており、『太宗 イ・バンウォン~龍の国~』がどのように描くかがとても興味深い。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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