【今まさに受験シーズン】試験の不正を取り上げた実録系の時代劇と言えば?

2024年01月15日 歴史 #康熙奉コラム #写真
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今年も寒い中で、大学入学共通テストが1月13日と14日に全国で実施された。大学入学をめざす受験生が真剣な表情で2日間難しい試験問題に取り組んだのだが、受験が大変なのはどこの国も同じだ。それは昔も変わらない。

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たとえば、朝鮮王朝時代には「科挙」という官僚登用試験が厳格に行われていて、これに合格しないと官僚になれなかった。それだけに、優秀な受験生が必死になって科挙にチャレンジしたのである。

しかし、試験があれば不正もおこりうるのが世の常だ。そんな科挙の不正問題を取り上げたのが『ヘチ 王座への道』であった。この時代劇は主役のチョン・イルがすばらしい演技を披露してドラマを盛り上げていたが、第6話で科挙の不正が扱われていた。

そこで、実際の歴史でもあった科挙の不正問題を見てみよう。当時の朝鮮王朝では、いくら家柄が良くても、科挙に合格しなければ高級官僚にはなれなかった。それだけに、良家の御曹司たちは必死に勉学に励んだ。その科挙は、いくつかの学科があり、中心は「文科」だ。これに受かると、エリート中のエリートになれた。

なお、科挙は3年に1回実施された。最初に「初試」という1次試験が各地方で行われ、都で2次試験に当たる「覆試」があり、さらに合格すると王の御前で「殿試」を受ける。これに受かると、晴れて高級官僚の卵になることができた。

科挙の不正問題を取り上げた時代劇『ヘチ 王座への道』(写真=韓国SBS『ヘチ 王座への道』韓国ポスター)

多く摘発され不正

しかし、朝鮮王朝では科挙の不正が大問題になっていった。実際にどんな不正がはびこったのか。それは、「替え玉が受験する」「参考書を試験会場に持ち込む」「あらかじめ試験問題を手に入れておく」「隠れてカンニングをする」といった不正の数々だった。

結局、不正があまりに多く摘発されて、科挙は存続すら危うくなるほどであった。そういう混乱は、『ヘチ 王座への道』が描いたとおりだ。

このドラマは当時の史実の出来事をリアルに取り上げていた。そういう意味でも、ドキュメンタリーな内容を持った時代劇だったと言えるだろう。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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