【『ヘチ』が描く王朝の制度】科挙にはどんな問題点があったのか

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チョン・イルが主演した『ヘチ 王座への道』は、朝鮮王朝時代の制度についてドラマの中で鋭い指摘をしているが、その中で序盤に大きく取り上げられたのが科挙の不正ということだった。

【写真】『ヘチ』で英祖を演じたチョン・イル

実際、当時の政治権力を握っていた老論派が科挙の不正に関与していたことが明らかになっていく。なにしろ、科挙は国のエリートを大挙して選抜する制度なので、不正問題はあまりにも影響が大きかったのだが、『ヘチ 王座への道』は歴史を再現する要素が強い時代劇であり、科挙の不正にも果敢に取り組んでいた。

もともと、官僚の登用選抜制度である科挙は高麗(コリョ)時代から朝鮮半島で採用されるようになり、朝鮮王朝時代には国の人事制度の根幹となった。

わかりやすく言えば、科挙に合格しないと高級官僚になれなかった。それゆえ、両班(ヤンバン)の子弟たちは必死になって受験勉強に励んだ。

そうして成績優秀者は科挙の試験に臨むのだが、厳格に正しく試験が行なわれれば問題はなかった。しかし、実際には不正がはびこっていたと言われている。

(写真=韓国SBS『ヘチ 王座への道』韓国ポスター)

歴史上にあった出来事

そんな状況を時代劇で真っ先に取り上げたのが、『トキメキ☆成均館スキャンダル』であった。このドラマの中では、受験者たちの「カンニング」「替え玉受験」などが生々しく描かれていた。さらには、厳しく審査すべき試験官が有力家門の子弟に受験上の便宜を与える様子も取り上げていた。

『トキメキ☆成均館スキャンダル』は歴史上にあった出来事を詳しく調べて物語を作っており、描かれていた科挙の不正には信憑性があった。

事実、当時の史料によると、科挙の不正として「替え玉受験」「参考書の不正利用」「試験会場における怪しい人物の不正操作」「カンニング」「試験問題の不正入手」などが常態化していたことが報告されている。

このように、不正は長年にわたって科挙制度を根本的に揺るがせていたのである。

そのあたりは『ヘチ 王座への道』でもドキュメンタリー風に描かれていて、とても興味深かった。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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