テレビ東京の韓流プレミアで放送されている『ホジュン~伝説の心医~』では、6月10日の第30話で超大物だった側室の名前が出てきた。それは、14代王・宣祖(ソンジョ)の第二側室となる仁嬪・金氏(インビン・キムシ)である。
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彼女は画面に登場しなかったが、名前が出てくるだけでインパクトが強烈だった。
仁嬪・金氏の「咳が出る」という症状をめぐって、ユ・ドジ(演者ナムグン・ミン)とホ・ジュン(演者キム・ジュヒョク)の治療方法がまったく違っていた。結局、ユ・ドジの診断結果が採用されることになったが、ホ・ジュンは冷静に受け止めていた。
かつて、ユ・ドジは宣祖の第一側室である恭嬪・金氏(コンビン・キムシ)から厚い信頼を得ていた。彼女は宣祖の長男である臨海君(イメグン)を産んでおり、後には光海君(クァンヘグン)の母にもなっている。
それほど重要な側室から信任されているということで、ユ・ドジは確実に高い評価を受けるようになった。そして、今度は仁嬪・金氏の病も治す可能性が高くなった。完全にライバルのホ・ジュンより実績を上回っている。
ところで、なぜ仁嬪・金氏の立場が強力なのか。その歴史的な背景を見てみよう。
仁嬪・金氏は宣祖の子供を9人も産んでいる。王子が4人で王女が5人である。その王子の3番目が定遠君(チョンウォングン)なのだが、実は彼の息子が16代王・仁祖(インジョ)なのだ。
この仁祖は、1623年にクーデターで光海君を王宮から追放して自ら即位している。つまり、光海君からすれば、甥から王座を奪われた形になっている。それほど、宣祖の側室から生まれた王子たちの間には激しい「骨肉の争い」があったのだ。結果的には、仁嬪・金氏の孫が王位争いの最終的な勝者になったのだが…。
このように、『ホジュン~伝説の心医~』を見ていると、登場人物によって当時の歴史の断面がよく見えてくる。しかも、ホ・ジュンとユ・ドジが所属する内医院(ネイウォン)は王族の治療をするところなので、権力闘争を間近に見る立場になるのである。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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