クォン・ユリが『ポッサム~愛と運命を盗んだ男~』で演じているのはファイン翁主(オンジュ)である。彼女は本当に気高く品を持ってこの役に扮していた。そこで気になるのだが、「翁主という存在は厳密にどういう意味があるのか」ということだ。
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歴史的に言うと、国王の正室が産んだ娘は「公主(コンジュ)」と称された。現代韓国でもその言葉は受け継がれていて、愛しい娘のことを親が公主と呼んでいたりする。
一方、朝鮮王朝では「国王の側室が産んだ娘」のことを「翁主」と称した。この場合、翁主は公主と明らかに違った。やはり、正室が産むか側室が産むかによって娘の扱いには差があったのである。
娘だけでなく息子の場合も見てみよう。国王の正室が産んだ息子は「大君(テグン)」と呼ばれ、国王の側室が産んだ息子は「君(クン)」と称された。同じ息子でも「大」が付いて呼ばれるかどうかは本当に大きかったのだ。
とはいえ、人数を比較すると、「大君」「公主」は、「君」「翁主」よりずっと少なかった。なぜなら、国王の正室は1人だけだが側室は複数いたからである。多いときは、国王が10人ほどの側室を抱えている場合もあった。それだけ、「君」と「翁主」の人数は多くなっていったのだ。
歴代王の中で一番多くの翁主を持った国王は誰であろうか。それは、3代王・太宗(テジョン)だ。子供は29人もいたが、その中で翁主は13人だった。
二番目に翁主が多かったのは9代王・成宗(ソンジョン)で、その数は11人だった。
三番目は14代王・宣祖(ソンジョ)であり、彼は25人の子供を持ったが、そのうちの10人が翁主だった。
ちなみに、光海君(クァンヘグン)の場合は、翁主が1人いたという記録があるが、その生存の詳細はよくわかっていない。果たして、どんな翁主だったのか。想像力がふくらむ中で『ポッサム~愛と運命を盗んだ男~』という時代劇が作られた。その中で、クォン・ユリが演じた翁主は、まさに「理想形」であったかもしれない。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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