『ポッサム～愛と運命を盗んだ男～』はとても見どころが多い時代劇だ。中でも、チョン・イルとクォン・ユリという主人公カップルに注目したい。2人は、ドラマの舞台上において、絶妙なるコンビネーションを見せている。
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チョン・イルは、寡婦を善意で誘拐する盗っ人のバウを演じているが、誤って彼に誘拐される運命となったのが、クォン・ユリが扮するファイン翁主(オンジュ)であった。
この奇妙なる出会いから2人の生活は始まり、初めの対立の関係が次第に深い愛情へと変わっていく姿が、ドラマの中で詩的に表現されていた。
中心的なテーマとしては、全体の中で「禁断の愛」が浮かび上がる。というのも、ファイン翁主が光海君(クァンヘグン)の大事な娘だからである。王女の彼女と庶民のバウの愛は、たやすく叶うものではない。朝鮮王朝では厳格な身分制度が根付いており、王族と庶民の身分の隔たりは極めて大きいのだ。
たとえ愛する心があっても、社会の規範としては容認されない。しかし、時代を問わず愛の物語は、禁じられた愛がテーマであれば、より情熱的に描かれていく。それゆえ、『赤い袖先』のような名作も「禁断の愛」を中心に描かれていた。『ポッサム～愛と運命を盗んだ男～』もまったく同様なのだ。
そんな中でチョン・イルとクォン・ユリが生み出すロマンスは、目に映る美しさがある。クォン・ユリは、王女としての気品を備えた演技をしており、風格あるチョン・イルも髭をたくわえてもその顔立ちが端整であった。
何よりも、2人が乗り越えていく過酷な状況は、むしろ見る人の心を浄化する効果があるほどだ。そんな2人によって魅力的な名場面が増えていく。
たとえば、王女が川に飛び込む場面、共に生活する中での愛情深い瞬間、欲深い両班(ヤンバン)の夫人を騙そうとするシーンなど……。チョン・イルとクォン・ユリのコンビネーションは、『ポッサム～愛と運命を盗んだ男～』を生き生きと彩っていた。
文＝康 熙奉（カン・ヒボン）
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