『風と雲と雨』を見ていると、朝鮮王朝の最高の易術家としてチェ・チョンジュンの存在感が凄まじい。主役のパク・シフが堂々と演じているが、天才的な頭脳を持ったチョンジュンは、四柱推命を駆使して人の将来をたちどころに言い当てていた。
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そんな彼が、ついに哲宗(チョルチョン)から引き継ぐ次期国王をズバリと予言した。その相手が、興宣君(フンソングン)の二男であった命福(ミョンボク)だ。子役のパク・サンフンが演じている。
果たして、命福とはどういう生い立ちだったのだろうか。
そもそも、興宣君というのは、17世紀前半に朝鮮王朝を統治した16代王・仁祖(インジョ)の三男の6代孫となる南延君(ナミョングン)の息子だった。
その興宣君と妻の閔氏(ミンシ)との間に生まれた息子たちの二番目が命福である。生まれたのは1852年だ。
この命福は、幼いときから頭がとても良かった。息子の才能に気づいた興宣君は、いつしか息子を国王に即位させたいと強く願うようになった。在位していた哲宗に後継ぎがいなかったので、王族として興宣君はわずかなチャンスでも生かしたいと欲を出したのだ。
それからの興宣君は慎重に動いた。当時、政治を牛耳っていた安東・金氏(アンドン・キムシ/『風と雲と雨』では壮洞・金氏〔チャンドン・キムシ〕と称されていた)によって潰されないように、権力者に媚びを売って保身に努めたのである。
そうやって用心しながら、興宣君は秘かに息子を国王にさせるための根回しを行ない、ついに1863年に念願を果たした。その年に哲宗が世を去り、後継者争いが激しくなったが、安東・金氏の目をあざむいてきた興宣君が息子の即位を実現させた。
こうして命福は26代王・高宗(コジョン)になった。しかし、まだ11歳にすぎなかった。そこで、興宣君が後見人となった。
自分が国王になっていないのに息子が国王になった人のことを大院君(テウォングン)と称する。こうして興宣大院君は絶大な権力を握るようになった。『風と雲と雨』では、チョンジュンの予言が見事に当たったのである。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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