パク・ミニョンが端敬(タンギョン)王后を演じる『七日の王妃』。このドラマでヒロインの端敬王后と同様に注目されるのが燕山君(ヨンサングン)である。
なにしろ、ドラマでは序盤から燕山君が強烈なキャラとして登場してストーリーに緊迫感を与えていく。それだけに、燕山君の存在を意識せざるをえないのだが、ドラマの基礎知識としてその人物像をしっかり把握しておこう。
燕山君は、名君として知られた9代王・成宗(ソンジョン)の長男だ。1476年に生まれており、母は斉献王后(チェホンワンフ)なのだが、彼女は朝鮮王朝で一番最初に廃妃になった女性だ。それゆえ、斉献王后より廃妃・尹氏(ユンシ)と呼ばれることが多い。
なぜ彼女が廃妃になったかというと、成宗の顔を引っ掻いて大きな傷を負わせたからだ。精神的に錯乱したうえでの不敬罪であった。
さらに、尹氏は1482年に死罪になってしまった。それゆえ、燕山君は母の愛情を知らずに育ち、性格も歪んでいたと言われている。
本来、王の資質に欠ける人物だったのだが、長男だったこともあり、燕山君は1494年に10代王となった。
即位当初は善政を行なうこともあったが、次第に本性を現わして、悪行を繰り返すようになった。特に、側室の張緑水(チャン・ノクス)と結託して酒池肉林に溺れ、国家財政を危機に陥れている。さらに、自分の意に沿わない官僚たちの虐殺事件も引き起こしている。それも一度ではない。何度も悪事を重ねている。
こうした悪政によって多くの人の恨みを買い、1506年にクーデターで廃位となってしまった。
そんな悪評まみれの燕山君を『七日の王妃』ではイ・ドンゴンが演じている。
彼は本来ならイケメンの主役として颯爽とした姿を見せることが多かったが、『七日の王妃』では一転して猜疑心・嫉妬・執着にこだわる異常な国王になりきっていた。
確かに、暴君に扮したイ・ドンゴンの表現力は凄まじかった。彼の鬼気迫る演技がドラマを大いに引き締めていくことだろう。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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