テレビ東京の韓流プレミアでは3月30日から『ヘチ 王座への道』がスタートした。このドラマは、朝鮮王朝の21代王・英祖(ヨンジョ)の若き日々を描いている本格時代劇である。主演を務めているのは、『太陽を抱く月』で見事な韓服姿を披露していたチョン・イルだ。
さらに、このドラマが注目を集めたのは、脚本を書いたのがキム・イヨンだったからだ。『イ・サン』『トンイ』『馬医』などで知られるキム・イヨンは、歴史に登場する人物を巧みにドラマに取り込むことで定評がある。
今回の『ヘチ 王座への道』でも、英祖を初めとして粛宗(スクチョン)や景宗(キョンジョン)といった国王がドラマチックに登場するし、新たに設定したキャラクターが縦横に活躍してドラマを大いに盛り上げていた。
その中でも、中心に位置するのは主人公の英祖だ。
歴史的にどんな国王だったのだろうか。
英祖は、19代王の粛宗(スクチョン)と側室の淑嬪・崔氏(スクピン・チェシ)の息子として1694年に生まれた。淑嬪・崔氏は『トンイ』の主人公となった側室なので、知っている人が多いことだろう。
ただし、淑嬪・崔氏はとても身分が低い生い立ちだったので、英祖もそのことでコンプレックスを持っていた、という史実が残っている。
実際、英祖は王室の中でも母の身分のことで差別的な扱いを受けたこともあったようだ。それでも、兄の景宗が亡くなったあと、英祖は1724年に国王として即位している。
以来、彼の在位期間は52年に及んだ。これは、朝鮮王朝の国王の中でもダントツのナンバーワンである。
政治的な業績も多く、公平な人事政策で大きな成果を挙げている。さらに、刑罰を改善して人権に配慮した法制度も作っている。そういう意味では、名君と呼ばれても不思議ではない。
そんな英祖の波乱万丈の半生をドキュメンタリータッチで描いた『ヘチ 王座への道』。スリル満点の展開が続く面白い時代劇であり、テレビ東京で始まった放送が本当に楽しみだ。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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