テレビ東京の韓流プレミアで放送されている『仮面の王 イ・ソン』は、第6話からは朝鮮王朝と日本の間で貿易を取り仕切った倭館(ウェグァン)が登場する。ドラマの中で朝鮮王朝が日本から銅を輸入する話が大きく取り上げられていたが、この倭館というのは歴史的にもどういう役割を果たしたのだろうか。
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室町時代以降、朝鮮王朝と日本との貿易を一手に引き受けていたのは対馬藩であった。玄界灘に位置する対馬は九州より朝鮮半島が近く、地の利があった。しかも、対馬は山が多くて平野がほとんどなかったので、米を作ることができなかった。
それゆえ、対馬は農業ではなく貿易によって生計を立てていた。
ただし、朝鮮王朝は海賊中心の倭寇に苦しめられた時期が多く、その倭寇の拠点として対馬を激しく攻撃したこともあった。
以後は、対馬の生活を安定させることが倭寇を生み出さない解決策だと考え、朝鮮王朝は対馬に特典を与えて貿易の権利を与えたりしていた。
こうして対馬は地の利を生かして朝鮮半島との貿易に力を入れ、その拠点として釜山(プサン)に倭館を設置していた。
倭館には対馬藩の役人が常駐しており、日本からは銀や銅や香料を朝鮮半島に輸出し、朝鮮半島から日本には綿、漢方薬、書籍などが持ち込まれていった。
そんな関係が続いて、倭館は大いに繁盛したのだが、突然廃止になったこともある。それは、1592年に始まった朝鮮出兵のときだ。
豊臣秀吉の命令によって多くの兵士が朝鮮半島に渡って戦乱が続いた。これは対馬藩にとっては生活の糧を失う死活問題だったが、1598年に戦乱が終結したあとに再び対馬藩の尽力によって日朝貿易が復活し、釜山の倭館が再建された。以後も、倭館は次々に拡張されて、日朝貿易を大いに活性化させたのである。
こうした歴史をふまえて『仮面の王 イ・ソン』を見ると、日本と朝鮮王朝の交流がよくわかって面白い。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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