ド・ギョンスが演じているウォンドゥクは、もともと世子の生活が身についているので、庶民の食生活がわからなかった。
それでも、彼は第4話では市場の食堂で喜んでクッパを食べていた。勘定を払わないで大騒動になるのだが、さぞかしウォンドゥクは「庶民の味」を堪能したことだろう。あのクッパは本当に美味しそうだった。
ただし、朝鮮王朝時代には身分制度によって食生活もガラリと変わった。
たとえば、おかずの皿数まで身分で決められていたのだ。そういう献立のことを飯床(パンサン)という。米を主食にしておかずを組み合わせた献立だ。
飯床の中身は、どの身分でもかならずご飯、汁(クッ)、キムチがついていた。
その上で、宮殿で暮らす王族たちは、十二楪飯床というご膳を出した。十二楪の楪(チョプ)とは、おかずを入れる皿のことで、12品のおかずを用意するという意味だ。
また、貴族階級の両班(ヤンバン)のご膳は9品を超えてはいけなかった。それでも大変なご馳走だった。
宮中の通訳官や医者など実務的な仕事を担った人々の身分は中人(チュンイン)だが、その人たちのおかずは7品か5品だった。
一方、人口が圧倒的に多いのは常民(サンイン)だ。農業、工業、商業に従事する庶民のことだが、常民のおかずは3品だった。通常は、ご飯1膳、汁、キムチ、山菜のナムルが食卓にあがった。
貧しいときは、屑米を炊いたおかゆや、かぼちゃを入れたすいとんでお腹を満たした。飢饉で食べるものがないときは、よもぎを入れた麦餅やどんぐりを食べた。
この苦しさだけはウォンドゥクもとうていわからないだろう。
(文=康 熙奉/カン・ヒボン)
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