韓国の国民俳優・故イ・スンジェが11月25日未明、この世を去った。享年91。
生前、健康悪化の知らせが相次いでいたこともあり、その訃報は芸能界内外に一層大きな衝撃を与えた。後輩俳優だけではなく、大衆も「時代の師を失った」として深い追悼の思いを寄せている。
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1934年、咸鏡北道(ハムギョン・プクト)の会寧(フェリョン)で生まれたイ・スンジェは、戸籍上では1935年生まれとして登録されている。
約70年にわたり演劇・ドラマ・映画の全領域で活動し、韓国演技界の「生きる歴史」であった。
彼は70歳の頃にシュエ―ションコメディ『思い切りハイキック!』に挑戦したり、90歳には演劇舞台への復帰という挑戦を続けるほど、演技への情熱を失わなかった。
生前最後の作品はKBSドラマ『ゲソリ(개소리)』であり、同作品で生涯初となる演技大賞を受賞した。
今年1月に放送された2024年 KBS演技大賞で、イ・スンジェはデビュー68年目にして初めて大賞を手にした。劇中で愛犬ソフィーと共に事件を解決する「名誉探偵」役を務め、名不虚伝の演技を披露した。
衰えた体でステージに立った彼は、深い感動を与え、震える声でこう語った。
「長く生きていると、こういう日も来るのですね。演技は、演技で評価すべきです。人気や条件で評価してはなりません」
また彼は、自分を最後まで信じてくれた嘉泉(カチョン)大学の学生たちにも感謝を伝えた。
「“心配しないでください、ドラマを頑張ってください”と言ってくれた学生の言葉に涙が出ました。その信頼に報いたくて、今日まで最善を尽くしました」と語り、涙をこらえた。
その真心のこもった受賞スピーチは、会場の後輩俳優たち全員をスタンディングオベーションへと導き、視聴者の心を揺さぶった。
11月26日に放送されたtvN『ユ・クイズ・オン・ザ・ブロック』の終盤では、昨年イ・スンジェが出演した第238回の映像が再び公開され、追悼の意が示された。当時、彼はこう語った。
「人が生まれる意味は、それぞれにあります。私がこの世に生まれた理由が必ずあるはずです。何事も確信を持ってやりなさい」
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人生の指針を示し、「俳優」としての信念も揺らぐことがなかった。
「最も幸せな死は、公演中に死ぬことだと言われます。冗談ではなく、私もそう思います」と語り、最後まで「演技は私の誇り」であると述べ、俳優人生を淡々と振り返った。
番組制作陣はテロップで「生涯、たくさんのご恩を受けました、先生。どうか安らかにお休みください。」と残し、故人を偲んだ。
イ・スンジェの死去を受け、受賞スピーチの映像、『ハイキック』の名場面、『花よりおじいさん』で見せた温かな姿など、彼の生前の記録が次々と再照明されている。
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韓国の大衆たちはイ・スンジェを、人生の価値を全身で示した師であり、後輩に道を開いた大人であり、国民が愛した父のような俳優として記憶している。
現役の第一線でありながら、演技人生の最期まで舞台を夢見た俳優イ・スンジェ。彼が残した作品、メッセージ、哲学は、韓国の文化芸術の財産として、これからも長く後輩と大衆を照らし続けるであろう。
(記事提供=OSEN)
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