韓国の芸能界では、年齢による先輩、後輩の関係はかなり厳しい。儒教的な「長幼の序」を厳格に守る韓国社会の中でも、芸能界は特にその傾向が強い。その中で、ペ・ヨンジュンの存在が後輩俳優たちにも大きな影響を与えてきた。
キム・スヒョン、チャン・グンソクという人気俳優が、自分の演技を磨くうえでペ・ヨンジュンから貴重なアドバイスを受けている。「リスペクト(尊敬)」。まさに後輩俳優たちがペ・ヨンジュンに向ける眼差しは、この一語に尽きるといえるだろう。
しかし、これは窮屈なものではない。むしろ、先輩俳優は後輩俳優たちに演技の指導をしっかり行なっているし、後輩もまた先輩を敬い、謙虚に礼儀を尽くしている。そこでは、独特な共同体意識が培われているのである。
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必然的に、後輩俳優は先輩からアドバイスをもらう機会が増えるのだが、先輩の中で特に存在感が際立つのがペ・ヨンジュンだった。
たとえば、キム・スヒョンの例を見てみよう。彼はペ・ヨンジュンがプロデュースしたドラマ『ドリームハイ』のサムドン役で注目され、国民ドラマとなった時代劇『太陽を抱く月』の主役で大ブレークを果たした。
キム・スヒョンは『太陽を抱く月』で行き詰まったときにペ・ヨンジュンから演技についてアドバイスを受けている。
キム・スヒョンは語る。
「ペ・ヨンジュン先輩から、『ドリームハイ』のときに演技についてたくさんアドバイスをいただきました。『太陽を抱く月』でも細かく僕の演技を見てくださいました。このドラマの序盤では僕の演技に対する意欲が先走ったところがありまして、ちょっと表現が過剰になりすぎました。ペ・ヨンジュン先輩がそういうところをしっかり指摘してくださいました」
このように、ペ・ヨンジュンは後輩であるキム・スヒョンに演技上で有意義なアドバイスを送っていた。
実際、ペ・ヨンジュンは『太陽を抱く月』の中で描かれたフォンという若き王のキャラクターをよく分析していて、キム・スヒョンがその役をどう演じればいいかを的確に把握していた。
ペ・ヨンジュンが若手俳優にとって精神的支柱になっているのは、なにも彼の俳優としての実績だけがモノを言っているからではない。ペ・ヨンジュンが自ら若手俳優のそばに近寄って肩を軽くたたくように励ますから、若手俳優は勇気づけられて少しずつ自信が持てるようになるのだ。
チャン・グンソクも、ペ・ヨンジュンに後ろを押してもらった1人である。
「僕は(偉大な)ペ・ヨンジュン先輩について、あえて何かを語れる位置にはまだいません。ただ、ペ・ヨンジュン先輩に偶然会ったんです。その際にユン・ソクホ監督の作品に出る際のアドバイスを受けました。ペ・ヨンジュン先輩は『ユン・ソクホ監督が演出されるままに俳優が続いていけば、結果は願ったとおりになるのではないか』とおっしゃいました」
また、『ドリームハイ』で果敢に“俳優”にチャレンジした2PMのテギョンも、ペ・ヨンジュンから貴重なアドバイスを受けている。
彼はそのときのことをこう語っている。
「ペ・ヨンジュン先輩からは『かならずうまくできるから、がんばってほしい』という激励の言葉をいただきました」
このように、テギョンに対するペ・ヨンジュンのアドバイスも、先輩としての温かみがあふれている。だからこそ、後輩の心に響くのである。
妥協を許さず自分が納得するまで演技に集中していたペ・ヨンジュン。その姿勢が若手俳優に大きな影響を与えてきた。
これだけを見ても、ペ・ヨンジュンがどれだけ後輩俳優から尊敬を受けているかがわかる。本当にペ・ヨンジュンはすばらしい俳優だったと言える。
♢ペ・ヨンジュン プロフィール
生年月日:1972年 8月 29日生まれ
身長:180cm
星座:おとめ座
出身校:成均館大学映像学科
デビュー:94年KBSドラマ『愛の挨拶』
☆主な出演作
『愛の挨拶』(ドラマ、1994年)
『若者のひなた』(ドラマ、1995年)
『初恋』(ドラマ、1996年)
『裸足の青春』(ドラマ、1998年)
『愛の群像』(ドラマ、1999年)
『ホテリアー』(ドラマ、2001年)
『冬のソナタ』(ドラマ、2002年)
『スキャンダル』(映画、2003年)
『四月の雪』(映画、2005年)
『太王四神記』(ドラマ、2007年)
『ドリームハイ』(ドラマ、2011年)
文=大地 康
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