俳優ヨ・ジングが12月15日、兵役に就いた。彼は自ら志願した「KATUSA(カトゥサ)」に選抜され、1年6カ月間服務することになった。
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韓国では男性に兵役義務が課されているが、その中でも特に「入隊が難しい」として知られているのが、在韓米軍に配属され米陸軍と共に勤務する「KATUSA」(Korean Augmentation to the United States Army)だ。
KATUSAが創設されたのは、韓国戦争真っ最中だった1950年。兵力不足に直面した米軍の要請により、韓国軍兵士を米陸軍部隊に増員する形で始まった。1953年に休戦協定が結ばれた後も廃止はされず、今も継続している。
とはいえ、KATUSAは韓国軍の“特殊部隊”ではない。あくまでも米軍をサポートするために派遣される韓国陸軍所属の支援団であり、いわば韓国と米国の「軍事同盟の象徴」だ。
韓国では「KATUSA=英語上手な兵士」というイメージが強い。それもそのはず、KATUSAは米軍の各部隊に配属され、米軍の制服と装備を着用し米軍兵士と協力しながら任務を行うため、一定レベル以上の英語力が求められる。
志願者はTOEIC(780点以上)など認定された英語テストの成績を提出する必要があり、合格後も「KTA」と呼ばれるトレーニングアカデミーで英語教育を受け、テストで合格最低点を超えなければ元の陸軍部隊に復帰させられてしまう。
それでもKATUSAの平均競争率は9.5倍(2025年基準)と非常に高く、KATUSA志願者のための英語学習市場もあるほどだ。
なぜKATUSAはこれほど人気があるのか。その背景には「服務環境の良さ」がある。
形式上では韓国陸軍所属だが、勤務先は米軍基地。それはつまり、日常生活・業務システム・職場文化が米軍に近いという意味だ。
出退勤や休暇制度は韓国軍の規定に従うが、勤務方式や日常のルールは米軍の文化に影響される。
一般的な軍隊が多人数での共同生活を基本とするのに対し、KATUSAでは1人1室、あるいは2人1室が割り当てられる。勤務後には基地内のジムやプール、ボウリング場、映画館などを自由に利用でき、週末の外出・外泊も比較的自由だ。
施設や生活環境の面で韓国軍よりも自律性が尊重されるだけでなく、米軍兵士たちと苦楽を共にする中で英語力を磨き、新しい文化に触れ、国際的な人脈を築ける点こそが、大きな魅力なのだ。
挑戦的な環境で成長を望む若者にとって、KATUSAは確かなメリットがあると言えるだろう。ただの兵役を越え、“米韓同盟の一員”として異文化の最前線に立ち、自らを試すことができる――それがKATUSAという存在なのだ。
異文化の最前線で過ごす1年6カ月が、俳優ヨ・ジングにどんな深みを与えるのか。除隊後の彼の姿が、今から待ち遠しい。
(文=李 ハナ)
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