テレビ東京の韓流プレミアで放送中の『トンイ』。9月1日に放送された第21話は、まさに物語が大きなうねりを見せる転換点であった。宮廷の奥深くでは、仁顯王后(イニョンワンフ/演者パク・ハソン)の地位を巡って烈火のような権力闘争が繰り広げられ、緊張は一瞬たりとも緩むことなく張り詰めていた。
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そこに立ち向かうトンイ(演者ハン・ヒョジュ)は、ついに王妃の潔白を示す決定的な証拠を手にする。
しかし、今は動けば逆に敵の手によってもみ消されるだけだと従事官のソ・ヨンギ(チョン・ジニョン)に制止され、無念の涙を胸に秘めたまま、王妃は冷たい宮廷を後にせざるを得なくなる。
その瞬間のトンイの表情には、深い痛みとともに王妃への揺るぎない忠誠、そして真実を貫こうとする信念が輝いていた。
大妃の死を機に、ついに王妃の廃位という苛烈な決断を下さねばならなかったからである。しかし、その選択は彼の心を深い孤独と虚無感で覆い尽くし、王という重責の重みに押し潰されそうになる。
そんな彼を静かに支えるのは、トンイをはじめとした温かな人々の存在であった。彼女への信頼はこの回で一層強まり、やがて訪れるであろう波乱を暗示する伏線となった。
同時に、宮廷内部では監察の体制が大きく揺れ動いていた。監察府は女官を各部署へ派遣し調査を強化するが、禧嬪(ヒビン)派のユ尚宮(演者イム・ソンミン)の策略により、トンイはもっとも厄介とされる内需司へと送り込まれる。
内需司は王室財政の中枢であり、古くから外部の介入を拒み続けた牙城であった。権勢を誇る内官たちに立ち向かうトンイの姿は、凛とした勇敢さと張り詰めた緊張をまとっていた。
やがて彼女が調査で突き止めるのは、銅や錫の不足、鋳銭所の不正、さらには公金の横領という腐敗の連鎖であった。
それらは大妃暗殺を巡る闇の資金へとつながり、宮廷全体を覆う巨大な陰謀の影が少しずつ姿を現していく。小さな女官であるはずのトンイが、王国の根幹を揺るがす闇に迫っていく姿は、観る者の胸を激しく高鳴らせた。
一方、ソ・ヨンギはチャン・ヒジェ(演者キム・ユソク)の動向を探るため、忠義に生きるチャ・チョンスを武官として潜入させる。その行動は友情と使命感に貫かれ、今後の物語を揺るがす重要な布石となっていくに違いない。
王妃を守り抜こうとするトンイ、真実を追い求めるヨンギ、そして苦悩する粛宗、それぞれの想いが複雑に絡み合い、物語は新たな局面へと突き進む。
第21話は、愛と忠義、陰謀と策略が重層的に交錯する濃密な一話であった。王としての孤独に苛まれる粛宗と、真実を明らかにしようと奮闘するトンイの姿が鮮烈に描かれ、視聴者の目は一瞬たりとも離せない。
闇が深まるほどに、光として輝くトンイの存在はますます鮮やかに浮かび上がり、物語の核心を照らす導き手となったのである。
文=大地 康
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