人気ドラマ『トンイ』で補盗庁(ポドチョン)の従事官(チョンサグァン)のソ・ヨンギを演じているのがチョン・ジニョンだ。彼は最難関のソウル大学の国文学科を卒業している。
【関連】『トンイ』で悪役を演じたイ・ソヨンは厳しい芸能界をどう生きてきたか
知性派の俳優として頭角を現したあと、2005年には映画『王の男』に出演し、絶対的な権力を持ちながら孤独だった10代王・燕山君(ヨンサングン)を巧みに表現した。
同映画は、韓国映画史上で最高観客動員数(当時)を記録し、チョン・ジニョンもさらに名声を得るようになった。その後、海外にいるときにイ・ビョンフン監督から直接電話をもらって、『トンイ』への出演依頼を受けた。
「まだ台本はありませんでした。けれど、監督から『私を信じて演じてほしい』と頼まれ、喜んで依頼を承諾しました」
こうして演じたソ・ヨンギの役は自分の信念を絶対に曲げない従事官。チョン・ジニョンは「今の時代にも必要な男」と思い、真摯に演じきった。
『トンイ』の後にも、チョン・ジニョンは『ラブレイン』(2012年)、『エンジェルアイズ』(2014年)、『華麗なる誘惑』(2015~2016年)などに出演していた。
意表を突く演技を披露したのが映画『ハッピーニューイヤー』(2021年)だ。年末の高級ホテルを舞台にみんなの「ささやかな奇跡」を描いた豪華キャストの映画で、チョン・ジニョンは初恋の人に40年ぶりに会って落ち着かないドアマンのサンギュを演じていた。堅いイメージを一気に吹き飛ばすユニークな演技だった。
さらに、メガヒットした『涙の女王』(2024年)でも、チョン・ジニョンは個性的なキャラに挑戦した。役は、ヒロインのヘイン(キム・ジウォン)の父ボムジュン。クイーンズグループの副会長で財閥の後継ぎなのだが、経営者としては能力が不足していて、仕事よりジグゾーパズルに夢中になっていた。
ところが、財閥が悪徳企業家に乗っ取られて没落してしまう。そんな情けない副会長だったが、チョン・ジニョンはコミカルな雰囲気を出して楽しそうに演じていた。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
■【関連】『トンイ』『イニョプの道』のチョン・ユミは演技派としてどのように活躍したか
前へ
次へ