韓国時代劇というジャンルの中では「泣けるドラマ」というのはそれほど多くはない。しかし、朝鮮王朝時代の王宮物語と限定すると、「悲恋」「死別」「身分の違い」といったキーワードで描かれた時代劇のいくつかが涙なくして見られない。そんな究極のドラマを選んでみると、次の3本が本当に泣ける。
●泣ける韓国時代劇/その1『赤い袖先』
2021~2022年/MBC/全17話/脚本チョン・ヘリ/演出チョン・ジイン/出演者(役名)=イ・ジュノ(イ・サン)、イ・セヨン(ソン・ドギム)、イ・ドクファ(英祖)
〔泣けるポイント〕世子から国王になるイ・サンと宮女ソン・ドギムの長く切ない恋物語を描いた『赤い袖先』。強い意志でイ・サンを支えながら自立した女性の立場を守り通したソン・ドギムの生き方に感銘を受けた。
その彼女が愛するイ・サンより先に命を終える局面はあまりに切なく、見ていて自然に涙がこぼれ落ちる。イ・ジュノとイ・セヨンの抒情的な演技も本当に感情を揺さぶられた。
●泣ける韓国時代劇/その2『太陽を抱く月』
2012年/MBC/全20話/脚本チン・スワン/演出キム・ドワン&イ・ソンジュン/出演者(役名)=ハン・ガイン(ホ・ヨヌ=ウォル)、キム・スヒョン(イ・フォン)、チョン・イル(ヤンミョングン)、キム・ミンソ(ボギョン)
〔泣けるポイント〕号泣する場面は序盤だった。キム・ユジョンが演じた子供時代のヨヌは、ヨ・ジングが演じた世子の妻になりながら、陰謀によって死ぬ運命を背負ってしまった。
最愛の父と母に看取られて息絶えていくヨヌ。涙なくしては見られない究極の場面だった。大人になっても、主人公2人の繊細な演技が愛の切なさを描き切っていて、涙腺がゆるくなった視聴者も多かったことだろう。
●泣ける韓国時代劇/その3『王になった男』
2019年/tvN/全16話/脚本キム・ソンドク&シン・ハウン/演出キム・ヒウォン/出演者(役名)=ヨ・ジング(ハソン/イ・ホン)、イ・セヨン(ユ・ソウン)、キム・サンギョン(イ・ギュ)
〔泣けるポイント〕ヨ・ジングは1人2役に扮したが、国王と道化師を巧みに演じ分けていて、まさに天才的な俳優であることを証明している。そんな彼の感情がこもった演技には本当に泣かされる。特に国王が意外な結末を迎えるところ……まさに究極的な演技だった。
さらに、悲しい王妃に扮したイ・セヨンの哀愁を帯びた演技も涙なくしては見られなかった。本当に、演技派の2人の演技力がまさに泣けるポイントになっていた。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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