NHK・BSプレミアムで10月31日から『王女ピョンガン 月が浮かぶ川』が始まったが、スリリングな展開で快調なスタートを切っている。
このドラマは、韓国でとても有名な「ピョンガン王女と馬鹿のオン・ダル」という歴史エピソードがモチーフになっているのだが、それは果たしてどんな話なのだろうか。
具体的に見てみよう。
当時の高句麗(コグリョ)の国王は平岡王(ピョンガンワン/25代王・平原王〔ピョンウォンワン〕のこと)であり、その娘がピョンガン(平岡)王女だった。
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彼女があまりに泣き虫だったので、平岡王はあきれてしまい、「そんなに泣くなら『馬鹿のオン・ダル(温達)』のお嫁さんにしてもらえ」と嘆いた。とはいえ、オン・ダルは真面目な男だったが、目が不自由な母の世話に明け暮れていて、あまりに貧しすぎた。それで、人から馬鹿にされていた。
ピョンガン王女が16歳になったときに縁談が持ち上がったが、ピョンガン王女は反発して王宮を飛び出して、オン・ダルの家に向かった。あれほど父から「オン・ダルの嫁になれ」と言われたので、それを実行しようとしたのだ。
平岡王は激怒したが、ピョンガン王女は本気だった。とはいえ、オン・ダルも信じられずに、ピョンガン王女との結婚を固辞した。それでも、ピョンガン王女は根強く説得して本当にオン・ダルの妻になった。
ピョンガン王女は持参金を用意し、オン・ダルに「これで馬を買ってください」と言った。ただし、商人が相手にしないような貧弱な馬がいいと付け加えた。
こうしてオン・ダルが貧弱な馬を買うと、ビョンガン王女は一生懸命に育てて立派な馬にした。オン・ダルはその馬で平岡王が企画した狩りに参加し、一番の成績を挙げた。平岡王はオン・ダルを初めて見て、その腕前に感嘆した。
その後、戦争でもオン・ダルは大活躍して、平岡王は「立派な婿(むこ)ができた」ととても喜び、オン・ダルは大変な出世を果たした。
平岡王が世を去り、嬰陽王(ヨンヤンワン)が即位した。
オン・ダルは新しい王にこう言った。
「新羅(シルラ)が土地を奪って民衆たちを苦しめています。私が土地を取り戻してきます」
そう言って出陣したオン・ダルだったが、激戦の末に戦死してしまった。
オン・ダルを弔うとき、棺がまったく動かなくなった。すると、ピョンガン王女は棺に話しかけた。
「もう心配しないで天国に行きましょう」
途端に、棺が動き出した。そして、高句麗の人たちは英雄の死を心から悼んだ。
以上がピョンガン王女とオン・ダルの逸話である。
この話を題材にしながら、『王女ピョンガン 月が浮かぶ川』は壮大なスケールで作られている。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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