本当に若さがハツラツとしていたドラマだった。それが、ペ・スジとナム・ジュヒョクがダブル主演した『スタートアップ:夢の扉』である。
そして、起業したIT会社でプログラマーとして活躍していくのがナム・ジュヒョクが扮したナム・ドサンだった。
このドサンは、とても純朴な青年だった。
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控えめだし、相手のことを思いやる性格の持ち主だ。しかし、ITのことをやらせたら、本当に凄い才能だった。特に、画像認識の技術に関しては世界的な企業も一目置くという天才である。
そんな彼に対して、ペ・スジが演じるソ・ダルミは、経営的なセンスを生かして会社を軌道に乗せていった。
いわば、2人は才能を十分に生かし切り、そして、お互いの恋愛感情を育んでいった。
こうした過程において、ナム・ジュヒョクの表現力はとても好感が持てるものだった。
その結果、彼が演じたドサンは、すばらしい才能を持ちながら決して浮世絵離れしていたわけではなく、常に周囲に目配せをして、自分の役割を忠実に行なっていった。そういう好青年だったドサンをナム・ジュヒョクはキラリと光らせていった。
しかし、ナム・ジュヒョクはドサンのことを「自分とは正反対のキャラクターでした」と語っている。
これは意外な発言だった。視聴者の中には「ドサンとナム・ジュヒョクは似ているキャラクター」と思った人も多かったはず。それほど、ナム・ジュヒョクはドサンに成りきっていたが、本人からすると、キャラクターに関して「本来の自分とは違う」という感覚がずっとあったという。
それでも、「かならずやり遂げるドサンの勇気には共感しました」とも語っている。
このあたりは興味深い。ナム・ジュヒョクはドサンの一番いいところを見抜いていたからこそ、あれだけ役に同化できたのではないだろうか。
本人は「自分とキャラが違う」とドサンについて思っていても、他人から見たら、意外と同類であったかもしれない。いや、視聴者もそう思っているほうが、さらに面白く『スタートアップ:夢の扉』を見られるのではないだろうか。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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