イム・ジヨンが主演した『オク氏夫人伝 -偽りの身分 真実の人生-』は、本当に内容が素晴らしかった。『宮廷女官チャングムの誓い』や『赤い袖先』といった最高級の時代劇に匹敵するドラマだった。U-NEXTで配信中なので、まだ見ていない人はぜひ視聴してほしい。
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そのためのアドバイスを1つ……ドラマの中で朝鮮王朝の重要な単語が2つ出てくる。それが、両班(ヤンバン)と科挙である。それに関する知識がないと、わからない部分が出てくるのでここで解説しよう。
まず両班から。
これは、高麗時代から朝鮮王朝まで朝鮮半島を長く支配した貴族的な階層のことだ。もともと「文班」(行政官吏)と「武班」(軍事官吏)の2つの官職を総合して呼ぶ用語であったが、時が経つにつれて、支配階級全体を象徴する言葉として広く用いられるようになった。
特に朝鮮王朝時代は、厳格な身分制度が社会に根を張り、極端な階級社会が形成されていた。
この時代、両班は王族を除けば最上位の階級であり、庶民や最下層の人々を冷ややかな眼差しで見下ろしていた。彼らは華やかな衣装を着て、広大な屋敷に住み、豊かさを誇示していた。その一方で、絶えず科挙という苛烈な試練の影に怯えていた。
科挙とは、国家が実施する官吏登用試験のことである。両班であっても、科挙に合格しなければ高級官吏になることはできなかった。それだけに、両班の師弟たちは必死に勉学に励んだ。それでも合格できない者が多かったことから、この試験の難易度がいかに高かったかが窺える。
科挙にはいくつかの学科があり、中心となったのは「文科」で、他には「武科」や「雑科」などがあった。
「文科」に合格すれば、名実ともに「エリート中のエリート」となり、朝廷でも一目置かれる存在となった。また「文科」では、知識だけでなく、詩や文章の美しさも試されたため、受験者は学問のみならず芸術的な感性も磨かねばならなかった。
試験は3年に1度実施され、まずは「初試」と呼ばれる1次試験が地方で行われた。これを突破した者だけが、都での2次試験「覆試」に挑むことが許された。そして、さらに勝ち残った者は、国王の御前で行われる「殿試」という最終試験に臨むこととなる。
この「殿試」に合格すると、官僚制度の一員として晴れて迎え入れられ、未来への扉が大きく開かれたのである。
特に上位成績で合格した者は、一気に出世街道を駆け上がり、国王を支える高級官僚へと登り詰めた。その姿は、まさに国王の右腕として、国家の舵を切る重要な役割を担っていたといえる。
このような情景は、韓国時代劇の中でもよく描かれており、それは『オク氏夫人伝 -偽りの身分 真実の人生-』でも同じだった。
文=大地 康
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