これほど終わってしまうことが残念だったドラマもそう滅多にない。いつまでもずっと見ていたかった傑作が、U-NEXTで配信中の『オク氏夫人伝 -偽りの身分 真実の人生-』なのである。
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脚本の素晴らしさや映像の美しさが際立っていたが、その中でも特に強調したいのが主役を演じたイム・ジヨンである。
彼女は『ザ・グローリー~輝かしき復讐~』で強烈な悪役を演じていた。そのイメージがかなり残っていたので、『オク氏夫人伝 -偽りの身分 真実の人生-』でイム・ジヨンが主役を演じると知ってちょっとびっくりした。はたして大丈夫なのか、という心配までしてしまった。
しかし、実際に序盤を見て、今までの先入観を恥じるほどだった。とにかく、イム・ジヨンが演じる主人公が卓越しており、心から感心させられた。
そのヒロインは、当初は奴婢のクドクだった。両班(ヤンバン)から強烈な虐待を受けた後に逃亡し、良家の令嬢オク・テヨンに生まれ変わった。彼女は頭の良さを十分に発揮して外知部(ウェジブ/裁判・訴訟の際の弁護人)で大活躍して村人を助け、平等な社会の実現に尽力した。
まさにオク・テヨンは、身分差別がひどかった朝鮮王朝時代の救世主的な存在であり、イム・ジヨンが美しく堂々と演じきっていた。
そういう意味でも、『オク氏夫人伝 -偽りの身分 真実の人生-』は、今までの時代劇とはまったく違う部分がある。それは、平等な社会を目指すというメッセージが込められている点だ。そこには、現代にも通じる教訓が随所に織り込まれており、それゆえ、このドラマを見た人たちが希望を感じることができるのである。
実際、オク・テヨンは自分を犠牲にして献身的に他の人たちの人生を救った。そういう場面は何度見ても心が洗われる。そんな象徴的なヒロインを演じたイム・ジヨンは『オク氏夫人伝 -偽りの身分 真実の人生-』の好演によって、女優人生に新たな輝かしいキャリアを加えた。それは、何よりも今までの努力の上に培われたものであった。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
■【写真】最高のチームワーク誇る『オク氏夫人伝』のオフショット
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