【重要な呼称問題】『チャングム』で表記される「皇后」は歴史的に間違いなの?

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テレビ東京の韓流プレミアで放送されている『宮廷女官チャングムの誓い』は、8月7日のオンエアで第36話になった。この回では、医女の見習いになったチャングム(イ・ヨンエ)が、王妃(パク・ジョンスク)の不調の原因を見つけて大手柄をあげる様子が描かれていた。

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ここで登場する王妃は、中宗(チュンジョン)の三番目の妻となった文定(ムンジョン)王后のことである。

彼女は1501年に生まれている。中宗と結婚したのは1517年で16歳の時だった。『宮廷女官チャングムの誓い』の第36話では文定王后が双子を流産してしまうのだが、史実で見ると、彼女は中宗との間に一男四女を産んでいる。

息子は1533年に生まれた慶源大君(キョンウォンデグン)であり、この子は1545年に13代王・明宗(ミョンジョン)となっている。その他に文定王后は4人の王女を産んでいる。

ドラマでは文定王后が悪女としては描かれておらず、むしろ育ちのいい好ましい人物として登場する。同じくイ・ビョンフン監督がメガホンを取った『オクニョ 運命の女(ひと)』で文定王后は極端な悪女になっていたから、『宮廷女官チャングムの誓い』の場合はまるで別人を描いているかのようだった。

チャングムの誓い
ドラマ『宮廷女官チャングムの誓い』の一場面(写真=2003-2004 MBC)

誤解を生みやすい表記

それでも、文定王后は後に中宗の二番目の妻である章敬(チャンギョン)王后が産んだ世子を憎むようになり、自分が産んだ慶源大君を王位に就けようとして暗躍した。

なお、『宮廷女官チャングムの誓い』の放送では、文定王后のことを「皇后」と称していたが、これは誤解を生みやすい表記だ。朝鮮王朝は中国大陸を支配する明(みん)の皇帝に敬意を表して、自国のナンバーワンを「国王」と称している。この「国王」は「皇帝」より格が一枚下がるのである。それゆえ、尊称も「陛下(ペハ)」ではなく「殿下(チョナ)」になっている。

それに対応して、国王の正室も「皇后」ではなく「王后」と呼ばなくてはならない。もし朝鮮王朝が「皇帝」「皇后」と自国のトップを呼んだら、怒った明から攻められても仕方がなかっただろう。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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