今や国際リゾート地として有名になった済州島(チェジュド)は、楕円形をした韓国最大の島である。島の中央には韓国最高峰の漢拏山(ハルラサン)がそびえている。
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この済州島が、『宮廷女官チャングムの誓い』では非常に重要な役割を担っていた。謀反の罪をきせられたチャングム(イ・ヨンエ)は済州島に流罪となり、そこから物語は大きく変わっていく。
彼女は復讐に燃え、何度も逃亡を企てる。その度に捕まって苦境に陥るのだが、医術を学ぶことによって、再び宮中に戻る機会を得ていく。まさに、済州島は捲土重来を期す場所として描かれていた。
同時に、ドラマを通して流刑地という印象も強烈に残った。特に、チャングムと師匠のハン尚宮(サングン)が罪人として済州島に向かう場面が多くの視聴者の涙を誘った。悲惨な最期を遂げたハン尚宮。最愛の師匠の死を嘆き悲しむチャングムの嗚咽の中に、済州島という流刑地の恐ろしさが暗示されていた。
この『宮廷女官チャングムの誓い』は16世紀前半の物語である。朝鮮王朝が実施した流刑は、罪の軽重によって流配地を決定するというものだった。つまり、重い罪を負うほど都から遠い場所に流されたのである。特に、多かったのが朝鮮半島西南部の諸島であり、その中でも南海の孤島とされた済州島は最も多くの政治犯が流刑となった島であった。
しかも、済州島への流罪は終身刑を意味していて、生きて再び都に戻ることはほとんどできなかった。それゆえ、権力闘争に明け暮れた支配階級の人々は、済州島への流罪をとても恐れた。
その中の一人が、15代王の光海君(クァンヘグン)である。1608年に即位した彼は、1623年はクーデターによって国王の座を追われた。そして、最後は済州島に流された。光海君が没したのは1640年。結局、彼も都に戻ることはできなかった。
そんな「不可能」を「可能」にしていくチャングム。彼女は済州島で別人のように生まれ変わった。
文・写真=康 熙奉(カン・ヒボン)
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