テレビ東京の韓流プレミアで放送中の『ポッサム~愛と運命を盗んだ男~』。10月17日の第6話では、宣恵法のことが大きく取り上げられていた。キム・テウが演じる光海君(クァンヘグン)が庶民の減税につながる宣恵法に意欲を示していたのだが、真っ向から反対したのが、イ・ジェヨンの扮する高官イ・イチョムであった。
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彼は特権階級の意向を代弁して宣恵法に施行に逆らった。光海君は激怒して感情をあらわにしたが、それでもイ・イチョムの反対論を覆すことはできなかった。このように、ドラマで重要なテーマとなった宣恵法はどのようなものなのだろうか。宣恵法は広く大同法として知られるが、この法律の背景を見てみよう。
当時の朝鮮王朝では、農民が田税(耕作する農地に応じた税)の他に貢納を負担していた。この貢納は、特産品を現物で納める制度のことだ。この場合、代納業者が農民に代わって貢納の特産品を納め、後で農民から米などによって代金をもらう仕組みが多かった。しかし、代納業者が不当に利益をあげる例が増えて、農民が困っていた。
そこで、農民が直接的に米や布を官庁に納める制度に改めようとしたのが大同法だ。この税制では、大地主ほど税負担が大きくなり、普通の農民の税負担が軽くなる。そういう意味でも、庶民にとってありがたい税制であった。
この大同法は、都があった京畿道(キョンギド)から実施される予定になっていた。その理由は、貢納の代納制度の弊害が一番大きかった地域だったからだ。
光海君は大同法の導入に積極的で、この点を見ると庶民のことを考えてくれる国王であった。ところが、両班(ヤンバン)は大地主が多いので、税の負担が多い大同法には大反対だった。
そういう背景があって、『ポッサム~愛と運命を盗んだ男~』ではイ・イチョムが大地主と結託して大同法に反対したのだ。それでも、光海君は大同法の施行に執念を燃やした。『ポッサム~愛と運命を盗んだ男~』でも、光海君の今後の統治の様子に注目していこう。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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