『王になった男』の「大同法」は本当にあったのか。その中身とは?

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テレビ東京の韓流プレミアで『王になった男』が放送されているが、このドラマでとても重要になる歴史的な法律が「大同法」である。この法律をめぐる話が『王になった男』ではひんぱんに出てくるのだ。そこで大同法について説明しよう。

まず、朝鮮王朝における納税制度を見てみよう。

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朝鮮王朝は農本主義、つまり農業を重んじる政策をとっていた。農地から得られる税が国家財政の基盤で、農民は田税(耕作する農地に応じた税)を払っていた。さらに貢納を負担していた。この貢納というのは、その土地の特産品を地方や中央官庁に現物で納める制度である。

ただし、貢納は仕組みが複雑だったこともあり、いつ集めてどのように特産品を納めるかが不特定だった。そこで農民と官庁の間を取り持つ代納業者が、農民に代わって貢納の特産品を納め、後で農民たちから米などによって代金をもらう仕組みが一般的になっていた。ところが、この代納業者が不当に利益をあげることが多発し、農民から実際の10倍くらいの料金をとる悪質な者もいた。

これでは農民の負担が増すばかりだ。そこで、貢納に関して農民が直接的に米や布を官庁に納める制度に改めようとしたのが大同法である。

写真=『王になった男』公式サイトより

大同法の導入に積極的な光海君

大同法では、大地主ほど税負担が大きくなり、小作農など土地をほとんど持たない人の税負担が軽くなる。今で言うと、富裕者から多めに税をとり、所得が低い人は税を軽くするという、庶民にとってありがたい法律だった。

この大同法は、都があった京畿道(キョンギド)から実施された。なぜかというと、この地域が貢納の代納制度の弊害が一番大きかったからだ。ヨ・ジングが演じるイ・ホンのモデルとなった光海君(クァンヘグン)は大同法の導入に積極的で、この点を見ると庶民のことを考えていた王ということになる。

しかし、貴族階級にあたる両班(ヤンバン)は大地主が多いので、税の負担が多い大同法には大反対であった。

こうした事情で、両班であった高官の多くは大同法の実施を阻止しようとしたのだ。こうした歴史的な事情を知っておくと、『王になった男』のストーリーをよく理解できるようになるだろう。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

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