韓国で大人気となった傑作ドラマがBSでスタートする。4月12日午前10時55分からBSテレ東で放送される『哲仁王后~俺がクイーン⁉~』だ。
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現代韓国の大統領官邸のシェフが陰謀に巻き込まれて逃亡し、その途上でプールに落ちて朝鮮王朝時代にタイムスリップするというのがこのドラマの始まりだ。
結局、朝鮮王朝時代の王妃の身体に魂が乗り移ってしまうことによって起きる騒動がドラマの中心になっていく。特に、シン・ヘソンが演じた哲仁(チョリン)王后が非常にユニークかつコミカルな動きを見せて大いに笑わせてくれるが、もう一人重要な人物がキム・ジョンヒョンの演じる哲宗(チョルジョン)である。
彼は25代王として有名な人物なのだが、それは良い意味で有名なのではない。歴史的に言うと、酒と女に溺れたダメな国王として有名なのだ。つまり、否定的に評されることが多い国王なのだ。
とはいえ哲宗は19世紀半ばの朝鮮王朝で女帝のように振る舞った純元(スヌォン)王后によって突然に国王として指名され、さらに操り人形として生きていかざるを得なかった。なにしろ王族とはいえ田舎で農業をしていたのに急に王宮に呼び出されて国王にさせられたのだから。
すべては先王が急死した後に跡取りがいなかったことが原因だ。そして、絶対的な権力を握った女帝によって都合よく使われてしまった国王だった。その屈辱から彼は酒と女に逃避してしまって、結局は怠惰な生活によって32歳という若さで早死にしてしまう。しかも、歴史的には評判が悪いのだが、このドラマはむしろ哲宗の名誉挽回を期すような内容になっている。
実際、このドラマに登場する哲宗は思慮深くて学問好きで民衆のために尽くそうとする。そのために純元王后と対立してしまうのだが、それでも信念を曲げずに優れた国王になろうと努力していた。そういう意味で、哲宗の奮闘ぶりが好意的に描かれていた。
確かに『哲仁王后~俺がクイーン⁉~』はコミカルな場面が多いのだが、歴史もきちんと描いていて、全体的に重厚なドラマとなっている。そこがまたこのドラマが韓国で人気を得た秘訣であった。
いよいよBSで始まった『哲仁王后~俺がクイーン⁉~』。とても見どころの多いドラマだ。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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