時代劇は韓国ドラマでも大人気のジャンルなので制作された作品は本当に数多いのだが、レジェンド級の傑作といえば、真っ先に名前が挙がるのが『宮廷女官 チャングムの誓い』ではないだろうか。
「時代劇の巨匠」と称されたイ・ビョンフン監督が作った傑作の中でも、『宮廷女官 チャングムの誓い』は特別な輝きを持っている。
このドラマは、韓国MBCで2003年9月15日から2004年3月23日まで放送された。つまり、放送が開始されてから今年で20周年を迎えるのだ。まさに韓国テレビ史に残る金字塔の作品だ。
イ・ヨンエが演じた主人公チャングムは実在した医女で、朝鮮王朝の正式な歴史書である『朝鮮王朝実録』では「長今(チャングム)」として出てくる。記述部分があるのは10カ所ほどだが、最初に登場するのは1515年3月21日だ。「医女の長今は功績があったので当然のごとく褒美を受けるべきだが、問題が起こって未だに褒美をもらえない」と書かれている。
さらに翌日の記述では「医女である長今の罪は大きい。産後に王妃の衣装を替えるとき、それをしないでおくとは、どういうことなのか」となっている。
このように、長今は間違いなく非難されている。なぜ、そんなことになったのか。
記述に出てくる王妃は11代王・中宗(チュンジョン)の妻の章敬(チャンギョン)王后である。彼女は出産直後に亡くなっている。その際に王妃のそばで治療に当たっていたのが長今で、彼女は王妃の衣装をあえて替えないという事態を起こしている。
しかし、長今は王妃のからだが冷えてしまうので衣装を替えなかった可能性が高い。あくまでも王妃のことを大事に思ったうえでの処置であったと思われる。
しかし、規則を守らなかったのは確かであり、その点で罰を受けたのに違いない。
それでも彼女は罷免されず、後には尊称を受けて「大長今」と呼ばれた。『朝鮮王朝実録』では長今の人物像までは書かれていないが、おそらく威厳に満ちた大人物だったと推測される。まさに『宮廷女官 チャングムの誓い』のヒロインとして最適なキャラクターだったのだ。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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