パク・ミニョンが主演している『七日の王妃』では、彼女が演じている端敬(タンギョン)王后の夫になるのが晋城大君(チンソンデグン)で、ヨン・ウジンが扮している。彼は、兄の燕山君(ヨンサングン)がクーデターで廃位になったあとに中宗(チュンジョン)として即位するのだが、在位期間は38年間でとても長かった。
【写真】【史実】『七日の王妃』でヨン・ウジンが演じる晋城大君はどんな人物なのか
とはいえ、政治的な業績はあまりなかった。高官たちの主導権争いに翻弄された部分が多く、自ら王権を発揮する機会も少なかった。結局、優柔不断な国王にならざるをえなかったのである。
そんな中宗にとって、在位期間を通して一番悪かったことは何だろうか。
もちろん、愛する端敬王后を離縁せざるをえなかったことが「痛恨」であったことは確かだが、その出来事を除いて彼の人生を振り返ってみると、やはり三番目の王妃として文定(ムンジョン)王后を迎えてしまったことではないだろうか。
この文定王后は、朝鮮王朝の女性史を見ても、悪女のナンバーワンだと言える。自分の実子だった明宗(ミョンジョン)を王位に就けるために、継子だった仁宗(インジョン)を毒殺した疑いが極めて高い。
そうやって明宗を13代王に即位させると、我が子が未成年だったことをいいことに摂政を担い、自分の身内を政権の要職に就けて悪政を続けた。
そのあおりで、賄賂政治が横行した。これだけでもひどいのに、庶民を見殺しにしている。当時、干ばつが多くて餓死する人が絶えなかった。それなのに、文定王后は民衆を救う政策を行なわず見殺しにしたのだ。その中で、私腹を肥やし続けた。
こうした悪行は中宗が亡くなったあとに起こった出来事なのだが、彼が生前に文定王后を図にのせたから、後の民衆が本当に苦労させられたのである。それゆえ、中宗にも大きな責任があるのだ。
結局、彼にとって一番幸せだったのは、即位する前に端敬王后と過ごした晋城大君の時代だったことだろう。国王になってからは、結局のところ、不運ばかり続いたと言わざるをえない。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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