パク・ミニョンがヒロインを演じる『七日の王妃』で強烈なキャラクターとして登場するのが、イ・ドンゴンが演じている燕山君(ヨンサングン)である。
国王でありながら性格が悪く、弟をいじめ抜いている。実際にはどんな男であったのか。
とにかく、史実で有名なのが燕山君の執念深い性格だ。それを端的に示すこんなエピソードが残っている。
【写真】【悪役となったイケメン】『七日の王妃』で燕山君を演じるイ・ドンゴン
少年時代の燕山君が父親の成宗(ソンジョン)と庭で話しているときだった。父親が可愛がっていた鹿が燕山君にもなついてきて、手の甲や服をなめた。
動物でよくある動作なのだが、燕山君はとても腹を立てて、なんと鹿を蹴飛ばしてしまった。これには成宗も大いに驚いた。すぐに彼は短気な息子を厳しく叱った。それでも、燕山君は反省を示さなかった。
月日が経って燕山君が即位した頃のことだ。彼は例の鹿のことを覚えていて、よほど腹を立てていたようで、家臣に命じてその鹿を殺してしまった。
他にも、燕山君の非道を物語るエピソードがある。
被害にあったのは、少年時代の燕山君の教育係だ。その教師は「将来の国王」を立派に育てたいと思い、燕山君に帝王学を厳しく指導した。
そのことを当の燕山君は恨みに思っていた。彼は即位したあと、その教師を処刑してしまった。それは、あまりに無慈悲なことだった。
少年時代に縁があった鹿と教師はなぜ殺されなければならなかったのか。
すべて燕山君の歪んだ性格のためだった。
それなのに、成宗にたくさんの息子がいながら、長男という理由だけで燕山君が成宗の後を継いで国王になった。
待っていたのは、暴政の数々だった。それによって、どれほど多くの民が苦しめられたことか。
燕山君に少しでも自覚があれば、彼は国王として真っ当な政治に取り組んだはずだ。しかし、結果はその逆であった。
そんな燕山君の異常な性格は、『七日の王妃』でも数多く描かれている。本来なら、こういう人物は絶対に国王になってはいけなかったのだが、歴史はときに大きな間違いをおかしてしまうものだ。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
■【関連】『七日の王妃』でイ・ドンゴンは燕山君の憎悪をどう演じたのか
前へ
次へ