NHKで放映され、現在はNetflixでも視聴できる『不滅の恋人』。韓国では『大君~愛を描く』というタイトルで放映された同ドラマの制作関係者は、演出を担当したキム・ジョンミン監督の演出力を高く評価している。
同関係者は「キム・ジョンミン監督は時代劇の新たな復興を導いた演出家だ。キム・ジョンミン監督ならではの安定感と洗練された演出、俳優たちの繊細な演技が幻想的なシナジーを作ったと見ている」とし、こう評価したのだ。
「特にイ・フィ(演者ユン・シユン)、イ・ガン(演者チュ・サンウク)、ソン・ジャヒョン(演者チン・セヨン)の場合、3役いずれも立体的なキャラクターで容易に表現しにくかったにもかかわらず、俳優たちの熱演とキム・ジョンミン監督の演出が化学反応を起こして、素敵なキャラクターが完成したといえる」
この関係者は結末についても言及している。
「イ・フィ、イ・ガン、ソン・ジャヒョンの3人が描いてきた激しいロマンスの最後。王室の平和のために大君としての運命に耐えてきたが、愛する人のために刃を持ったイ・フィ。流される人生ではなく、自分の人生を生きようとし、命にも代えられない恋人と生死をともにしてきたソン・ジャヒョン。そして一生涯、自分を証明するためにいかなる悪行もはばからなかったが、凄絶な寂しさに悩まさなければならなかったイ・ガンの最後の姿に焦点を置いた」
また、「そしてフュージョン時代劇ということで、『不滅の恋人』の最後は実際の歴史とは違う結末にした。史実では見られない『不滅の恋人』だけの新しい歴史を見せたかった」という。
では、ドラマの制作陣が選んだ最高の名場面は何だろうか。
名シーンは両手で数え切れないほど多いが、制作陣は2つあると打ち明けた。
2つとも第1話のシーンだ。
ひとつはイ・ガンの前に北方から生きて帰ってきたイ・フィが現れ、摂政を続けることを宣言した場面。
もうひとつは、ソン・ジャヒョンの婚姻の知らせを聞くや否や馬に乗って走ったイ・フィと、「尼になる」と言って髪の毛を切ってしまったソン・ジャヒョンが抱擁するところだ。
両シーンとも視聴者に『不滅の恋人』というドラマの存在感を確実に認識させた。
この関係者は『不滅の恋人』を通じて、最も伝えたかったことについても明らかにした。
「作品を通じて見せたかったのは、人間の“選択”と“愛”だった。主人公たちは、いつも選択の岐路にいた。兄弟を愛するのか、殺さなければならない敵とすべきか。あるいは王座をむさぼるのか、正道を歩むのか。世の中と他人が望むように生きていくのか、自分の人生を生きるのかなど。
人生の多くの岐路で、いかなる選択をするかによって、自分と周囲の人々の生活がどう変わるかを示したかった」
幾度もの選択の瞬間、イ・フィは“平和”、ソン・ジャヒョンは“自我”を選び、イ・ガンは“力”を選択した。同時にイ・フィとソン・ジャヒョンは、多くの逆境と悲劇の中でも“愛”を選んだし、その愛の力で惨憺たる運命に立ち向かうことができた。
一方でイ・ガンは生涯、“愛”が欠乏した寂しい人物だった。彼は愛の本質も形も理解できず、それどころか自分が恋に落ちたという事実さえも十分に認識できなかった。
愛を知らないイ・ガンは人を愛する生活を選択できず、あれほど切望してきた“力”を得たにもかかわらず、恐ろしい苦痛を味わわなければならなかった。
「結局、愛だけが人生の最悪の瞬間でも、人間を人間らしくしてくれる、だから私たちはいつも愛する道を選択しなければならないという、陳腐かもしれないが、今の私たちにとても必要なメッセージを伝えたかった」
制作者も語った『不滅の恋人』の魅力。6月19日からテレビ東京の韓流プレミアでも放映が決まっているが、制作陣の意図を知って観るとドラマがより一層面白くなるに違いない。
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