時代劇『トンイ』のシナリオを書いたキム・イヨン脚本家が、時代劇の巨匠と言われるイ・ビョンフン監督とコンビを組んだのは2回目であった。
前作は2007年の『イ・サン』である。主人公イ・サンが困難にも負けずに名君へと成長していく物語をキム・イヨン脚本家が堅実に描ききって、イ・ビョンフン監督から大いに信頼された。そして、満を持して3年後に『トンイ』に取り組んだのだ。
【関連】『トンイ』の主演女優たち、今何してる?4人の近況をまとめて紹介!
イ・ビョンフン監督は、シナリオに対する注文がとても多い。書き上げたばかりのシナリオをすぐ書き直すようにキム・イヨン脚本家が言われることも度々だった。しかし、どんなに意見が対立しても、2人はお互いに信頼し合って名場面を次々に作っていった。
『トンイ』においてもキム・イヨン脚本家が最初に粛宗(スクチョン/演者チ・ジニ)について書いたことがイ・ビョンフン監督は気にいらなかった。「説明調の描写が多いので、もっと会話をたくさん入れてほしい」という注文も入った。
それに対して、キム・イヨン脚本家は「会話をたくさん入れるのであればコミカルにしてみようか」と考えるようになった。そういう展開から、第6話で主人公トンイが塀を乗り越えるときに四つん這いになった粛宗の背中を踏んづけてしまう、という有名なシーンが生まれた。
当時、キム・イヨン脚本家は「あまりにもやりすぎたかな」と心配したそうのだが、イ・ビョンフン監督はそのシナリオに満足し、痛快な名場面に仕上げていった。
キム・イヨン脚本家は第6話の粛宗のイメージをその後も大事にして、ユーモアを持った国王が何度も登場するようになった。従来の国王というと、威厳を持って行動して眉間にシワが寄る場面も多かった。
そういう定型パターンを崩して国王のイメージを変えたかったキム・イヨン脚本家は、多くの人が親しみを持てる時代劇にしたいという意欲を持ち、『トンイ』では人間味のある国王として粛宗を書き続けた。そのことをイ・ビョンフン監督も高く評価していた。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
■【関連】いま明かされる『トンイ』韓国放送時に世間を賑わせた「珍事件ベスト5」
前へ
次へ