6月27日、映画『ハルビン』(7月4日公開)のジャパンプレミアイベントが新宿ピカデリーで行われ、来日したヒョンビンとウ・ミンホ監督に加え、リリー・フランキーが登壇した。
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MCの古家正亨の呼びかけにより、ウ・ミンホ監督、ヒョンビン、リリー・フランキーが登場。大きな拍手と歓声に包まれるなか、まずは来場者に向けて1人ずつ挨拶を行った。
ウ・ミンホ監督は「『ハルビン』の監督ウ・ミンホです。お会いできて嬉しいです」とコメント。続いて、映画のプロモーションでは実に19年ぶりの来日となるヒョンビンが「久しぶりに皆さんを劇場でお会いできて嬉しいです。良い思い出を作っていただきたいです」と語った。リリー・フランキーは「映画をご覧になった後ですよね?すごくダイナミックで素晴らしい映画だと思いますので、皆さん楽しんでいただければと思います」とコメントした。
続いて、日本での公開を控えた心境について古家から尋ねられると、ウ・ミンホ監督は「皆さんご覧になった通り、韓国独立軍たちの物語です。この映画が日本で公開されることは、それなりに大きな意味があると思いますし、どのようにこの映画をご覧になり、どんな感情を感じられるかとても気になります。ワクワクもします」と思いを語った。
ヒョンビンも「監督もおっしゃいましたが、ハルビンという映画は日韓両国の歴史的事件を扱ったストーリーなので、日本の観客の皆さんとお会いすることが感慨深いです。皆さんがどのように映画を観てくださるのか気になりますし、少し緊張感もありますね」と続けた。
リリー・フランキーは「2人が仰ったように歴史を題材とした映画ですけども、お互いの国でこの映画が上映されるということが一番平和の象徴だなと思います。そして何よりも映画として楽しんでいただければ、映画というものが一番良い姿で前に来れたんじゃないかなと思います」と述べている。
映画の話題に及ぶと、ウ・ミンホ監督は『ハルビン』という作品に取り組んだきっかけを次のように明かした。
「実はアン・ジュングン将軍に対する関心は常にありました。彼に関するドラマや映画、ミュージカルといったコンテンツが結構あったんです。でも僕が偶然、書店でアン・ジュングンの自伝を読んだ時、これまでのコンテンツでは見れなかった人間的な苦悩や、知らなかったことがありました。例えば戦闘で捕まえた日本軍捕虜を解放したという事実などが、僕には大きな好奇心としてやってきました。どうしてハルビンまで行ってああいうことができたのか、我々が知っていた姿の裏にある、彼の人間的な苦悩と同士たちに対する心配、そういうのを描いてみたかったです。そのためにスタートした作品です」
出演を決めたきっかけについて聞かれたヒョンビンは「ある意味監督と同じ部分になると思うのですが、韓国ではアン・ジュングン将軍の存在感や象徴性が非常に大きいです」とコメント。すると会場内でスマホのアラームの音が鳴り、思わず「はい?」と反応してしまい、場内に笑いが起こる一幕もあった。
古家が「失礼いたしました」とフォローを入れると、ヒョンビンは「大丈夫です」と笑顔で応じた後、「彼の英雄的な面ではない、1人の人間としての考えや感情が確かに存在したはずなので、そういう部分が映画を通じてたくさんの方々に知ってほしいなと思いました。監督が映画を通じて伝えたい物語と、監督の真心が僕を動かせた気がします。監督からは『一緒に意味のある作品を作ろう』とずっと言われたいたので、素晴らしい監督を信じて良い作品を作ってみたいと思い、出演に至りました」と語った。
リリー・フランキーは、「脚本を頂いた時に素晴らしい脚本だなと思いましたし、これは面白い映画になるだろうなと。あと、監督の大ファンでして。監督の長編はほとんど見ていたので。そして僕に限らず、皆さんそうでしょうけど、ヒョンビンの作品はほとんど観ていたので。多分皆さんもこのオファーを受けたら断らなかったはずでしょ」と、笑いを取った。
広大な自然の中でのロケ撮影にこだわったという本作について、ヒョンビンは次のように語っている。
「この映画の撮影に入る前に、監督が宣戦布告をしていました。その当時、国権回復のために献身し犠牲になった方々に対することを、我々がブルースクリーンやグリーンスクリーンの前で容易に撮影できない。なのでしっかり覚悟して来てほしいという話を、俳優のみならず全スタッフに伝えていました。いざラトビアやモンゴルに行って、その風景や自然の中に入っていた時の感じは、辛いというより、助けになりました。なので良いロケ撮影だったと言えます」
一方、単身で韓国入りしたというリリー・フランキーは「共演者、スタッフ全員で何百人もいたんですが、日本人は僕だけ。でもスタッフもみんな優しくしてくれました。監督はすごくエネルギッシュで優しくて、頼もしい人。撮影してて、すごく気持ちがいい。いい時はすごく褒めてくれるし。ヒョンビンは皆さんもご存知のように、ジェントルで優しくて、滞在している間、すごく楽しかったです」と振り返りつつ、「マスコミの人もいるから」と、心温まるエピソードも披露。
「ちょっと前に、10人ぐらいでテーブルを囲んで食事をしました。全員韓国の有名な俳優さんとか、若い俳優さん。僕だけ日本人だったので、ヒョンビンが横に座ってくれたんです。撮影中に仲良くなってので。でもみんな、韓国語で話し合うじゃないですか。だから僕が黙っていると、横に座っている彼がテーブルの下で、僕の手に上からそっと手を添えて、『リリー、Are you OK?』と声をかけてくれたんです」と話すと、会場は大爆笑に包まれた。
「そのことを覚えているか」と振られたヒョンビンは、「リリーさんの大ファンなので、僕の私欲を満たしました」と照れ笑いを浮かべたのも印象的。ここでしか聞かねい、みんなが喜ぶ貴重なエピソードとなった。
続いて、公式SNSで募集した質問にも回答するコーナーへ。
中でも多く寄せられたというのが、「韓国の撮影現場ではご飯が美味しいという噂ですが、一番美味しかったものは?」という質問。
これに対し、リリー・フランキーは「日本のようにお弁当ではなく、必ずケータリングなので、キムチだけで何種類も並んでて。常に美味しい韓国料理がいただける現場でした。終わった後に食べに行くお店も本当に美味しかった」と振り返った。そして「3日撮影したら1日休みなので、周りのスタッフの人が温泉に連れて行ってくれたりして、おじさんが僕の体を垢すりしてくれるんだけど、そんおじさんも全裸で(笑)」と、ユーモアたっぷりに楽しい思い出を披露した。
この流れから、撮影現場でのホスピタリティについても質問が及ぶと、ウ・ミンホ監督は「僕が演出をする上で基準としているのは、ご飯が美味しいことと、正確に決まった時間にご飯を食べることです。みんなで苦労しているのに、ご飯が不味かったら腹が立ちますから」と語る。“食に本気”なことをうかがわせる監督の答えに、ヒョンビンはそっと下を向いて笑い、リリー・フランキーは「今のは絶対書いてください」と取材陣に念を押した。
撮影現場の雰囲気について、ヒョンビンは「映画は重いストーリーを扱っていますが、現場の雰囲気は重いとは感じられなかったです」と振り返る。「各自、自分のキャラクターによってプレッシャーを受ける状況ではありましたが、役割が違うだけで、みんな同じ気持ちだったので、話を交わしたり頼りにしたりする時間が多かったです。海外ロケが多くて、海外で撮影する間、俳優たちとスタッフと一緒に時間を過ごすことが多かったので、だんだん本当に劇中の仲間たちのように、仲良く過ごしていた現場でした」と語った。
「映画『ハルビン』の魅力を一言で表す」という少し難しい問いかけには、ヒョンビンが「難しいですね」とつぶやきつつ、リリー・フランキーに先に回答を譲る場面も。するとリリー・フランキーは「いい映画だ」とシンプルに答え、監督は「日韓俳優たちの好演と、OTT作品とは差別化される、劇場で体験すべき映画」と話した。
最後にヒョンビンは「少し困難で大変でも、一歩一歩信念を持って進んでいけば、より良い未来が見えるだろうという希望的な映画だと言いたいです」と伝え、古家が3人の答えを合わせて「スクリーンで見るべき、希望のあるいい映画だ」とまとめた。
イベントの最後は、お互いを称え合う和やかなムードに。
口火を切ったのはリリー・フランキーで、「現場では髭の生えた、汚い格好のヒョンビンしか会ってないのに、その後、東京でプライベートで髭を剃ってきれいな格好をした彼に会った時、『ヒョンビンじゃん!』と興奮しました。ヒョンビンはとてもナイスガイだし、監督はすごく才能あふれる人なので、また一緒にいろんな仕事をしていきたいですね」としみじみ。
するとヒョンビンも「今回、このように日本に来てプレミアイベントをやって、観客の皆さんにお会いすることに大きな役割を果たしてくれたのが、リリー・フランキーさんなんです」と紹介し、「韓国で公開された時に、リリーさんがいらっしゃってプレミア上映や舞台挨拶を一緒にやりました。なので、リリーさんに伝えたんです。もし日本でプレミア上映や舞台挨拶をやることになったら、必ず行って一緒にやるという約束をしたのですが、今日、このように約束を果たしました」と喜びをにじませた。
最後には、ウ・ミンホ監督も負けぬと言わんばかりに一言。「僕はリリーさんの大ファンで、現場で彼の演技を直接目にすることは、本当に驚異的な体験でした。僕が思い描いいていたそれ以上のものを表現していただいて、この場を借りて改めてお礼を伝えたいです」とリリー・フランキーへの敬意を示し、会場は温かな拍手に包まれた。
◆映画『ハルビン』
7月4日(金)新宿ピカデリーほか全国公開。
【あらすじ】1909年10月、アン・ジュングン(安重根)と同志たちは伊博文を追ってある使命を果たすため中国・ハルビンへ向かった。そしてハルビン駅に銃声が鳴り響いた…。1908年、咸鏡北道(ハムギョンブクト)シナ山で、安重根アン・ジュングン(ヒョンビン)率いる大韓義軍は劣勢にもかわらず勇敢に戦い、日本軍に勝利を収める。万国公法に従って戦争捕虜たちを解放すると主張するアン・ジュングンに対し、イ・チャンソプ(イ・ドンウク)は激しく反論。結局、自らの兵を率いてその場を去ってしまう。その後、逃した捕虜たちから情報を得た日本軍の急襲を受け、部下たちを失ってしまったアン・ジュングンは、なんとかロシア・クラスキノの隠れ家に帰り着く。しかし、彼を迎えた同志たちの視線は厳しかった。1909年 10月、日本の政治家である伊博文(リリー・フランキー)が大連からハルビンに向かうとの情報を得たアン・ジュングン。祖国の独立を踏みにじる「年老いた狼」を抹殺することこそが、亡くなった同志たちのために自分ができることだと確信した彼は、ウ・ドクスン(パク・ジョンミン)、キム・サンヒョン(チョ・ウジン)とともに大連行きの列車に乗るが、日本軍に察知されてしまう。
配給:KADOKAWA、KADOKAWA Kプラス
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