韓国映画監督たちが自ら選出し、表彰する「第23回ディレクターズカット・アワード」が、キム・チョヒ監督とポン・マンデ監督の進行のもと盛況のうちに開催された。
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このアワードの最大の特徴は、候補者および受賞者の選定をすべて韓国映画監督の投票によって行う点と、堅苦しさを排したユーモラスな演出で行われる授賞式の形式にある。今年もその伝統はしっかり守られ、笑いと祝福があふれる祝祭の場となった。
授賞式は、執行委員長であるチェ・ドンフン監督とイ・ギュマン監督のあいさつで幕を開け、続いてキム・チョヒ監督とポン・マンデ監督によるオープニングで本格的にスタートした。全13部門のうち、最初に行われたのは「シリーズ&映画 新人俳優賞」である。
シリーズ部門の「新人男優賞」は、ドラマ『殺人者のパラドックス』でノ・ビンを演じ注目を集めたキム・ヨハンが受賞した。
キム・ヨハンは「オーディション後に2ヶ月間連絡がなく諦めかけていたが、食器を洗っていた時に連絡が来た」と当時を振り返り、イ・チャンヒ監督への感謝を述べた。そして「主の中で楽しく演じる俳優になりたい」との抱負を語った。
最も熾烈な争いとなった「新人女優賞」は、ドラマ『地獄が呼んでいる』のシーズン2でお日様組の先生オ・ジウォンを演じ、新たな姿を見せたムン・グニョンが受賞した。
授賞式には本人が出席できなかったため、昨年の同賞受賞者であり今回プレゼンターを務めた俳優イ・ハンビョルがムン・グニョンのコメントを代読した。
ムン・グニョンは「ヨン・サンホ監督の大胆なキャスティングのおかげで、思いきり羽ばたくことができた」と感謝し、「今後も他の監督たちの思いきった選択に応えられる演技を見せたい」と意志を語ったのだった。
映画部門の「新人男優賞」は、映画『破墓/パミョ』でユン・ボンギル役を演じたイ・ドヒョンが受賞した。
昨年の受賞者である俳優ホン・サビンが軍務中の休暇を利用して登壇し、除隊からわずか5日目のイ・ドヒョンと並んで舞台に立つという予想外の組み合わせが会場に笑いをもたらした。イ・ドヒョンは「期待してくださる分、その期待に応えられるよう、より一層努力して演技していきたい」と力強く語った。
『蔚山の星』でユンファ役を演じ鮮烈な印象を残したキム・グムスンが「新人女優賞」を受賞した。
キム・グムスンは「毎日が新しいわけではないが、新しい気持ちで一生懸命生きていきたい」とコメントし、寒い中でも熱意をもって共に歩んだチョン・ギヒョク監督やスタッフたちと喜びを分かち合いたいと述べた。
続いて、映画部門の「脚本賞」「ビジョン賞(インディペンデント映画賞)」「新人監督賞」の授賞が行われた。
「脚本賞」は映画『破墓/パミョ』を執筆したチャン・ジェヒョン監督が受賞した。「今、執筆に苦しんでいる最中だったが、脚本賞をいただけて本当に力が湧いてきた」と語ったのだった。
ビジョン賞は『長孫(チャンソン)』のオ・ジョンミン監督が受賞した。
オ監督は、同作が5度目の挑戦で6回目にしてようやく独立映画制作支援を受けられた作品であると述べ、自らに成長の機会を与えるべく落選させてくれた審査員たち、そして最後まで寄り添って支えてくれたプロデューサーたちに深い感謝の意を表した。
新人監督賞は『ハンサムガイズ』のナム・ドンヒョプ監督が受賞した。
ナム監督は「受賞に縁のない映画だと思っていたが、こうして賞をいただけて嬉しい」と語り、本作の機会を作ってくれたスタッフ、俳優、そして制作会社に感謝の言葉を贈った。
続いて、韓国映画監督協会(DGK)の代表であるミン・ギュドン、ユン・ジェギュン両監督による挨拶が行われ、ディレクターズカット・アワードの開催を支援した教保生命、プラスエム・エンターテインメントをはじめとするスポンサー各社への感謝が述べられた。
その後、シリーズおよび映画の俳優賞が発表された。シリーズ部門の男性俳優賞は『殺人者のパラドックス』でソンチョンを演じたイ・ヒジュンが受賞。イ・ヒジュンは、自分を信じて老人役を任せてくれたイ・チャンヒ監督への深い感謝を語った。
女性俳優賞は『家族計画』でヨンスを演じたペ・ドゥナが受賞。現在海外滞在中の彼女は映像メッセージで、「映画監督たちからいただいた賞だからこそ、より貴重で嬉しく思う」とし、謙虚な姿勢を忘れずに努力する女優でありたいと誓った。
映画部門の男性俳優賞は『勝負』でチョ・フニョンを演じたイ・ビョンホンが、昨年に続いて再び受賞した。
プレゼンターを務めた俳優チョ・ウジンは「自分の知る中で最も格好よく、魅力的で映画的な人物」と最大級の賛辞を贈りながらイ・ビョンホンの名を呼んだ。イ・ビョンホンは「劇場で観客と会えることが本当に幸せだった」と述べ、共演者1人1人が自分の色を出してくれたおかげで得られた栄誉だと感謝を述べたのだった。
女性俳優賞は『破墓/パミョ』でイ・ファリムを演じたキム・ゴウンが受賞。海外滞在中のキム・ゴウンは映像を通して、「『大都市の愛し方』と『破墓/パミョ』の2作品がノミネートされたこと自体がとても意義深く、感謝していたのに、さらにこのような大きな賞までいただき、本当に嬉しい」と喜びを語っていた。
最後に、シリーズと映画の監督賞の発表が行われた。シリーズ部門の監督賞は『殺人者のパラドックス』のイ・チャンヒ監督が受賞。イ監督は「他の映画祭ではノミネート止まりで受賞できず残念だった」としつつ、これから撮ることが許された作品に全力を尽くす所存であると語った。
映画部門の監督賞は『破墓/パミョ』のチャン・ジェヒョン監督が受賞した。チャン監督は「映画監督という仕事で一番素晴らしいのは、仲間たちと共に何かを創り上げていけること」と語り、仲間たちから直接受け取ったこの賞がより一層大切に感じられると感激を表した。また、韓国映画が再び燃え上がることを願うという希望も口にした。
第23回ディレクターズカット・アワードは、候補者と受賞者をすべて韓国映画監督たち自身が投票で選ぶという特別な形式の授賞式である。
今年もDGK代表のミン・ギュドン、ユン・ジェギュン両監督をはじめ、イ・ギュマン、チェ・ドンフンの両執行委員長、そしてカン・ユンソン、キム・ソンス、パク・チャヌク、オム・テファ、ユ・ジェソン、イ・ジュニク、チョン・ジュリらを含むおよそ150名の
DGK所属監督たちが出席し、受賞者たちに心からの祝福を送りながら、盛況のうちに幕を閉じた。
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