クォン・サンウの誠実さを物語るエピソードがある。かつて彼のサイン会に参加した1人の女性ファンが、切なる思いを込めて「映画試写会に必ず参加させてほしい」と懇願した。こうした場面では、たいていの俳優が曖昧な笑顔でやり過ごすものである。しかし、クォン・サンウは違った。
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彼はその願いを静かに受け止め、実際にその女性を試写会に招待した。この出来事が報じられると、多くのファンがその女性の幸運を羨んだ。そして、信義を守るクォン・サンウの姿に、さらに心を奪われたのである。
彼が真の人気者となったのは、2003年12月から放送されたドラマ『天国の階段』での熱演によるところが大きい。初恋の人を一途に想い続ける御曹司という役柄を、切なさと哀愁に満ちた演技で見事に体現した。視聴率は軽々と40%を超え、その人気は社会現象ともなった。
「愛とは帰ってくるものだ」
ドラマの中でクォン・サンウが言うこのセリフも流行語になった。
彼は『天国の階段』の中で、愛する女性のために幾度となく涙を流した。その涙の演技は大評判になった。実際、クォン・サンウは愛した女性が視力を失ったときのことを想像し、その悲しみを演技に昇華させていたという。そんな彼をそっと支えたのが、共演者のチェ・ジウであった。
彼女は自らの出番がない場面でも、カメラの向こう側で彼の集中を助けるために、特別な演技を披露していた。そのような細やかな心遣いを持った彼女は、クォン・サンウにとって理想の相手役であった。
クォン・サンウは周囲の温かな支えがあったからこそ、今の自分があると何度も語っている。結局、『天国の階段』の主演として、彼はテレビ局が主催する数々の演技賞を受賞し、俳優としての評価を飛躍的に高めた。
続けて、ハ・ジウォンと共演した映画『神父授業』では、ラブロマンス一辺倒というイメージを鮮やかに打ち破った。彼の演技は新たな深みを見せ、この作品は興行面でも成功を収めた。かくしてクォン・サンウは、韓国エンタテインメント界の中心に立つ存在となったのである。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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