5月5日に開催された第61回百想芸術大賞・放送部門の男性助演賞。個性的な候補者がズラリと揃っていたが、最終的には『おつかれさま』のチェ・デフンが栄誉に輝いた。
【関連】傑作『おつかれさま』に波風を立てたのは、あの「天下の嫌われ者」か
彼が『おつかれさま』で演じたのは、嫌われ者のプ・サンギルだった。この役は、ヒロインのエスン(演者IUおよびムン・ソリ)にやたらとからんできていた。
最初にサンギルが登場するのは、エスンのお見合い相手として、であった。その縁は実を結ぶことなく消えていった。結婚寸前まで進んだものの、結局は破談となった。
サンギルは豊かな暮らしを送る船長であり、エスンの夫となったグァンシク(演者パク・ボゴム)が彼のもとで働くことになった。だが、その現実は、優しさとはほど遠いものだった。サンギルは冷酷で強欲な雇い主であり、耐えかねたエスンが怒りに震え、ついには彼を蹴り飛ばしてしまった。それは、エスンの誇りと怒りが入り混じった激しい瞬間であった。
中年になったエスンは、組合長選挙に立候補する。そこで再びサンギルと対峙することになる。サンギルは不正選挙という闇に手を染めた。しかしエスンは、その正義感と揺るがぬ信念で勝利を手にした。正々堂々と戦い抜いた彼女の姿は、多くの人々の胸を打った。
皮肉なことに、その後、サンギルの娘ヒョンスク(演者イ・スギョン)とエスンの息子ウンミョン(演者キム・ユソク)が愛を育み、結婚することとなる。かつて対立していたふたりが、今や親戚という不思議な巡り合わせに包まれる。このように、サンギルはエスンの人生において、時に敵であり、時に家族として複雑に絡み合う存在であった。
こうしたサンギルという人物を、俳優チェ・デフンは実に個性的な雰囲気で演じ切った。その存在感は作品の中でひときわ異彩を放ち、ついに彼は百想芸術大賞という栄光を手にする。授賞式での彼のスピーチは、あたたかく人間味に満ちていた。
豪華キャストが揃っていた『おつかれさま』。その中で、チェ・デフンの存在感は抜群だった。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
■【関連】『おつかれさま』再会ショット公開、司会も演技も光ったパク・ボゴムの百想エピソード
前へ
次へ