ミステリー時代劇『青春ウォルダム 呪われた王宮』でパク・ヒョンシクが扮した世子のイ・ファンは、本当にすごいキャラクターだった。もともとは、兄が世子だったのだが、急死してしまったので、代わりにイ・ファンが世子となった。
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しかし、「呪いの書」が舞い込んできて、兄を毒殺して世子になったと断定され、さらに自らの死を予告されてしまった。イ・ファンの周りには危ない敵が多かったのだ。
こういう立場になると萎縮してしまうものだが、イ・ファンはそうではなかった。彼は、目にした文章のすべてを一瞬にして覚えてしまうほど記憶力が抜群の若者だ。それはとても素晴らしいことなのだが、それだけでなく、考え方も非常に飛び抜けていた。
当時の朝鮮王朝では、儒教を国教にしている関係で、厳しい身分制度や古臭い男尊女卑思想がはびこっていた。そういうことで特に女性が限定的に生きていかなければならなかったのだが、イ・ファンはもっと幅広い思考で動ける人だった。
彼の信念の根底には、「男女平等」「機会均等」「出身地差別の撤廃」「個人の尊重」という、20世紀以降に人類が獲得した人権思想があった。いわば、旧態依然とした朝鮮王朝の固定観念から逸脱し、人類の普遍的な価値観にまでたどり着くというのがイ・ファンの真骨頂であった。
そういう意味では、伝統を守るだけの立場ではなく、世の中を進歩的に改革していく気構えを持っていた。
まさに「型破りのヒーロー」であり、「時代の先駆者」であった。イ・ファンが国王になったらどれほど朝鮮王朝が飛躍的に発展するか……そんな期待を大いに抱かせてくれるのが、『青春ウォルダム 呪われた王宮』におけるイ・ファンの本質であった。
このように、「時代が求めるリーダーの条件」をすべて持っていた世子イ・ファン。彼を主人公にした時代劇『青春ウォルダム 呪われた王宮』は、最後まで面白いほどに痛快だった。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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