2024年3月9日からNetflixで配信中の韓国ドラマ『涙の女王』が話題だ。
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本国の韓国はもちろん、日本でも「今日のTV番組TOP10」で上位をキープ。NetflixグローバルTOP10ランキングのテレビ部門(非英語)においても4週連続でTOP10入りをキープし、4月3日の発表によるとついに1位の座を獲得した。
『涙の女王』は、あの大ヒット作『愛の不時着』を執筆した脚本家パク・ジウンの新作として制作段階から注目を浴びていた。
主演を務めるのは『プロデューサー』『星から来たあなた』に続き、脚本家パク・ジウンとは3度目のタッグになる俳優キム・スヒョンと、『太陽の末裔』『私の解放日誌』でヒロインを演じた俳優キム・ジウォン。
韓国ドラマのヒットメーカーたちが仕掛ける新たな作品ということで、業界やドラマファンたちが期待を寄せていた。
『愛の不時着』が見知らぬ男女の恋を描く王道の恋愛ドラマだったとすれば、『涙の女王』は結婚3年目にして仲をこじらせた夫婦に再び恋が芽生えるという話である。
妻のヘインは“デパート業界の女王”と呼ばれる財閥グループの高慢な令嬢で、夫のヒョヌは田舎出身でありながらソウル大学(日本でいう東大)を卒業した弁護士だ。
ヘインが財閥令嬢とも知らずに「好きだ」と告白したヒョヌは、いわゆる“世紀の結婚”をして財閥家の婿に入る。
しかし、執事同然の扱いや自己中なヘインとの暮らしに耐えられなくなってしまい、密かに離婚を決意。そのことをヘインに切り出そうとした寸前、ヘインから「余命3ヵ月」と伝えられることから物語は怒涛の展開で進んでいく。
韓国では初回視聴率5.8%でスタートし、第4話で二桁を突破。そして折り返し点となった第8話で16.1%をたたき出した。
第12話で15.9%を記録した『愛の不時着』に比べるとすごい勢いだ。
ちなみに、第1話で描かれた2人の結婚式は『愛の不時着』のカップルであるヒョンビンとソン・イェジンへのオマージュが込められている。彼らが実際に式を挙げたグランドウォーカーヒルソウルホテルのアストンハウスで撮影された。
そういう粋なセンスと脚本家パク・ジウン特有のユーモアをさりげなく織り込みつつ、俳優たちの演技とストーリー、映像のクオリティもすこぶる高い。
制作費は1話あたり25億ウォン(約2億5000万円)の計400億ウォン(約40億円)といわれているだけに、見応えのある作品だ。
ドラマがヒットしているからか、主演俳優キム・スヒョンの出演料をめぐる噂も広がった。
一説によれば1話あたりの出演料は8億ウォン(約8000万円)に及ぶという。全16話なので合計128億ウォン(約12億8000万円)。
しかし、ドラマの関係者が「それは事実ではない」と否定すると、今度は「1話につき3億ウォン(約3000万円)」という報道も出た。
エンタメ業界では俳優たちの出演料を公開しないのが暗黙のルールになっているため、正確な金額は謎に包まれたままだが、キム・スヒョンが高額の出演料をもらったことは事実だろう。
また、韓国屈指の大財閥サムスンの故イ・ゴンヒ会長の長女でホテル新羅の代表、イ・ブジンのラブストーリーがモチーフになったことも世間の興味を引いた。
実際にイ・ブジン代表も家族を説得した末、ボディガードだったイム・ウジェ氏と1999年にゴールイン。“世紀の結婚”として世間を騒がせたが、約5年にわたる泥沼離婚裁判を経て2020年に離婚が成立した。
劇中でヒョヌが海外留学を勧められることや離婚訴訟の時に弁護士の選任に苦労したこと、ヘインの冷淡な性格などが、イ・ブジン、イム・ウジェ元夫婦の話を元にしているとされている。
実話は離婚というバッドエンドを迎えたが、ドラマはきっと違うエンディングを見せてくれるはずだ。
「韓国ドラマの古い慣習を打破した」と海外からも好評の『涙の女王』。“こじらせ夫婦”がどのようにして関係を修復していくか、その過程を楽しく見守りたい。
文=李 ハナ
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