時代劇『ポッサム~愛と運命を盗んだ男~』で、悪女として強烈な印象を残しているのが、ソン・ソンミが演じている女官のキム・ゲシだ。
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彼女は尚宮(サングン)として光海君(クァンヘグン)を支えている。もとは、光海君の父親だった14代王・宣祖(ソンジョ)に従っていた女官だった。頭が良かったので、宣祖に気にいられていた。
彼女は、宣祖の後継者争いで光海君のために動いた。宣祖の長男だった臨海君(イメグン)を世子の座から追い落とす策略にも加担して、その力を誇示していた。そうした結果、光海君が世子に選ばれて、1608年に宣祖がこの世を去ったあとには15代王として即位した。そのときにも、キム・ゲシの働きは大いに評価されていた。
その後も、キム・ゲシは目的を達成するために手段を選ばず、光海君の王位を安定させるために暗躍した。そうした黒幕としての動きが『ポッサム~愛と運命を盗んだ男~』でもよく描かれていた。
ただし、自分の欲望にこだわりすぎる性格だった。たとえば、クォン・ユリが演じるファイン翁主(オンジュ)が生きているのに、彼女に対して「死んでください」と露骨に忠告する場面があった。その一言がファイン翁主をどれだけ悲しませたことか。それでも、キム・ゲシは自分の立場を強くするために狡猾なやり方を通していた。本当に利己的な女性なのだ。
そんな彼女も今度は、チョン・イルが演じるキム・デソクに対して「一緒に組まないか」と呼びかけていた。それはキム・デソクの利害をよく理解しているからだ。その上で、彼を取り込むことが自分の安泰につながると見通していたのである。
そのとき、ファイン翁主は深い読みでキム・デソクに対して「キム・ゲシと組んだほうがいい」とアドバイスしていたが、それも本当に賢い意見だった。この点でファイン翁主は間違いなく名参謀になれると思える。
果たしてキム・デソクはキム・ゲシと組んでどのようにファイン翁主を守っていけるのか。その成り行きに注目したい。
文=大地 康
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