チョン・イルとクォン・ユリが主演している『ポッサム~愛と運命を盗んだ男~』で、イ・ジェヨンが演じているイ・イチョムは典型的な悪徳高官である。
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彼は光海君(クァンヘグン)の娘を嫁に迎えたのだが、「ポッサム」(善意の誘拐)されて行方不明になると、嫁が死んだことにしてしまって葬式まで行なう始末であった。自分の利益のためだったら平気で悪事を働く男なのだ。
さらに、光海君が善政を行なおうとすると、それに反対して政治を極度に乱していた。いかにも賄賂で政治を動かすような人物でもあるのだ。そういう意味でも、『ポッサム~愛と運命を盗んだ男~』においてイ・イチョムは、まさに「悪の代名詞」と言えた。
そんなイ・イチョムという男を、イ・ジェヨンが重厚に演じている。この俳優は韓国時代劇において数多くの重要人物に扮した重鎮である。
そのイ・ジェヨンが出演した時代劇をいくつか紹介しよう。
『イ・サン』は、イ・サンこと朝鮮王朝第22代王・正祖(チョンジョ)を演じたイ・ソジンやサンの幼なじみで図画署の茶母(タモ)ソン・ソンヨンを演じたハン・ジミン、朝鮮王朝第21代王・英祖(ヨンジョ)を演じたイ・スンジェなど名俳優たちがすばらしい演技を見せた名作時代劇だ。
その正祖が社会の弊害を改革しようと果敢に取り組む王へと成長していく姿を描いた本作で、イ・ジェヨンは元左議政で老論派の長であるチャン・テウを演じていた。
『トンイ』は、朝鮮王朝第19代王・粛宗(スクチョン)の時代が舞台となっており、粛宗の側室である主人公トンイこと淑嬪・崔氏(スクピン・チェシ)をハン・ヒョジュが演じていた。
さらに、粛宗を演じたチ・ジニや一時は王妃にまでなった張嬉嬪(チャン・ヒビン)を演じたイ・ソヨンなど多くの俳優たちが最高の演技で注目を集めた本作で、イ・ジェヨンは大司憲チャン・イッコンとして登場していた。
上記の作品の他にも、『奇皇后』ではワン・ユの叔父ワン・ゴ、『華政』では清西派の領袖キム・サンホン、『テバク』では老論派の官僚キム・チャンチブを演じている。
時代劇だけでなく現代劇でもベテランの俳優として活躍しているイ・ジェヨン。これからも彼にしかできない演技で見る人を楽しませてくれるだろう。
文=大地 康
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