去る4月末、“韓国版ゴールデングローブ賞”と呼ばれる「第59回百想(ペクサン)芸術大賞」の授賞式が韓国で行われた。韓国紙『中央日報』を保有する大手メディアグループ・中央グループが主催するこの授賞式は、韓国のテレビ・映画・演劇分野を合わせて表彰する韓国唯一の総合芸術授賞式として最高の権威を誇る。
【写真】アイドル顔負けの女優パク・ウンビン、舞台裏でも可愛すぎる!
2023年の目玉は、テレビ部門の大賞を誰が取るかということだった。
受賞者として有力視されたのは、大ヒットドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』(以下、『ウ・ヨンウ』)の主演女優パク・ウンビン(30)と、『ザ・グローリー~輝かしき復讐~』(以下、『ザ・グローリー』)の主演女優ソン・ヘギョ(41)。演技や話題性の面で誰が取っても文句なしだったが、結果からいうと、『ウ・ヨンウ』のパク・ウンビンが審査員の満場一致で大賞に輝いた。
子役から数え、芸歴27年となるパク・ウンビンは、女優人生初の大賞トロフィーを手に「夢が叶った」と嗚咽して泣いた。
しかし、自分の名前が呼ばれた瞬間から涙腺を崩壊させた彼女に対し、とある文化評論家は「女優として品格がない」というニュアンスのダメ出しをしている。そのダメ出しが大きく話題になると、世間はパク・ウンビンの肩を持った。そして評論家は「非難する意図はなかったが、そう聞こえたのなら僕のせいだ」と謝罪し、不本意ながらパク・ウンビンがいかに愛される存在であるかを改めて証明する形となったのである。
パク・ウンビンという女優の真骨頂が見られるのは、自閉スペクトラム症を持つ弁護士役で世界中から絶賛を浴びた『ウ・ヨンウ』だけではない。ドラマ『恋慕』では男装しなければならない朝鮮王朝の国王、『ブラームスは好きですか?』ではヴァイオリン専攻の音大生、『ストーブリーグ』ではプロ野球チームの運営チーム長…。近年の役どころを見ると清々しいほど振れ幅が広く、演技力がなければこなせない役ばかりだった。
今回の大賞受賞においても、パク・ウンビンがソン・ヘギョの代わりに『ザ・グローリー』のムン・ドンウン役を演じるのは可能でもその逆は難しい、ということで納得する声もある。女優として最も必要で、誰も文句を付けられない才能が備わっている、まさに才色兼備だ。
圧倒的な演技力の次には、その人柄の良さだろう。
子役時代から女優業と学業をしっかり両立させた誠実さや責任感、大学では演技でなく心理学を専攻するほど他人の心に寄り添おうとする優しさと賢明さ、『ウ・ヨンウ』が大ヒットしてからメディア出演が多くなっても、ドラマ以外では決してウ・ヨンウを演じず、自閉症を笑い物にしないと決めた芯の強さ。
人としてあまりにも「できている」からか、ファンのみならず、業界関係者も彼女の虜になることが少なくないという。
また、記者たちの間では「ヤマ(記事の要を意味する韓国の隠語)製造機」と呼ばれるほど、「韓国女優のなかで最もインタビューが上手だ」とも噂されている。
前出の批評家もパク・ウンビンに“ダメ出し”ができなかったのは、受賞スピーチの内容だった。彼の言葉を借りると「受賞者の誰よりも内容があった」という約10分間のスピーチは、制作チームに代わって自分が賞を受けたという謙遜や審査員・視聴者・ファンに対する感謝、そして次のようなフレーズもあった。
「少しでも以前より親切な心を抱かせますように、また、以前よりも個々の個性を違いではなく多彩さとして認識できますようにと願いながら(ウ・ヨンウを)演じました。その一歩一歩に関心を持ってくださり、行動で示していただき誠にありがとうございます」
いつも真摯な姿勢で仕事に取り組み、さらには社会に少しでも良い影響を与えようと意識するのは、パク・ウンビンならではの魅力で、評価されるところでもある。韓国で女優として長く生き残るためには、美貌や演技力はもちろん、人間性の高さも必要だ。そういった部分でパク・ウンビンは完璧であり、さらに円熟した姿をファンに期待させる女優なのだろう。
2022年11月、東京ではパク・ウンビンの初めてのファンミーティングが行われ、約2000席が全席売り切れとなった。そして2023年5月26日にはファンパーティー「1st FAN PARTY IN JAPAN 」が収容人数約5000人の東京国際フォーラム ホールAで開催される。日本でも熱く支持されるパク・ウンビンから、目が離せそうにない。
文=李 ハナ
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