『マイ・ディア・ミスター』でIU扮するジアンが住む「タルトンネ」は何を象徴している?

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2018年に韓国tvNで放送された『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん』は、放送当時に韓国で批判的な意見が多かった。しかし、時間と共に作品性が高い評価を集め、Netflixで配信が始まると一気に見る人が増えて傑作として認められるようになった。

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その中でも、ヒロインを演じたIUの演技力が絶賛された。彼女が扮したジアンは薄幸の中で生きてきた女性だった。

そのジアンは、イ・ソンギュンが演じるパク・ドンフンが勤める建築会社の派遣社員になるのだが、偶然にも同じ町内に住んでいた。そこが後渓(フゲ)であった。ドラマ用に命名された架空の町なのだが、ソウルの下町という設定である。

しかし、同じ町内とは言ってもジアンとドンフンが住むエリアは明らかな違いがあった。特にジアンが住んでいたのは、坂道を上っていく極端な住宅密集地だ。

一般的にソウルで「タルトンネ」と呼ばれる場所である。「タル」とは月のことで、坂道の上にあるので「より月に近い町内」という意味になっている。

(写真=韓国tvN『私のおじさん』ポスター)

月が美しく見られる場所

ソウルの中でも朝鮮戦争のときに家を失った人々が住んだ地域であり、住環境は不便だった。それゆえ、経済的に困難な人が多く住んでいたが、1990年代以降に再開発によって次々に姿を消している。

そんな「タルトンネ」に住んでいたジアン。マンションに住むドンフンとは明らかに経済格差があることがドラマによって暗示されている。

つまり、同じ町内ということでドンフンとジアンが一緒に家路についていても、別々になってジアンが坂道を上り始めると、彼女の生活の困難さが如実に描き出されたのである。

しかし、やはり「タルトンネ」には月が美しく見られる場所があり、ドラマでもジアンが祖母と一緒に月見を楽しむシーンは印象的な名場面になっていた。

それにしても、スーパーマーケットのカートを持ち出して祖母をのせて月見に向かったジアンには驚かされた。その姿を見てドンフンがジアンの見方を変えていくのだが、あの名場面を見る度に無性に月見がしたくなる。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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