歴史巨編として大作の風格を持つ『風と雲と雨』は、終盤になると、哲宗(チョルチョン)が世を去り、興宣君(フンソングン)の二男だった命福(ミョンボク)が高宗(コジョン)として即位した。
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しかし、高宗は未成年だったので、父親の興宣君が後見人として絶大な権力をつかむことになった。
こうして興宣君は大院君(テウォングン/国王の父)の称号を受けて興宣大院君と崇められた。途端に、彼は独断的な政策を打ち出して、権力者の横暴を見せるようになった。
元は、貧しい王族だった。経済的な支援を受けるために、物乞いのように富者の屋敷をまわっているような男だったのに、大院君になってすっかり豹変してしまった。
こうなると、『風と雲と雨』の主人公であるチェ・チョンジュンとの対決が絶対に避けられなくなった。なぜなら、チョンジュンは民衆のための慈愛活動に熱心であり、それは興宣大院君の政策とは逆だったからだ。
それにしても、チョン・グァンリョルが演じる興宣大院君は性格が極端だった。「手の平を返す」とは、まさにこのことだ。彼は、息子を国王にするために、あれほどチョンジュンの力を借りたのに、その恩も忘れて、チョンジュンに敵意を示すようになった。
しかし、パク・シフが扮するチョンジュンも、ただ黙っているわけにはいかない。彼は、外国勢力が迫ってきて国難を痛感すればするほど、国政を正しい方向に導いていかなければならないという使命感を強く持った。
それだけに、チョンジュンは興宣大院君が行なう政策を改善することに全力を注いでいく。特に、興宣大院君は異様なほどに攘夷思想を持っており、それは王朝を衰退させる危険性があった。そのことがドラマを通して明らかになってくるが、チョンジュンは理想を持って彼なりに夢を叶えようとする。それこそが民衆を幸せにする道だった。
こうした展開がクライマックスに向けてドラマを大いに盛り上げることだろう。パク・シフの熱演にも期待したい。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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