時代劇『風と雲と雨』では「翁主(オンジュ)」という言葉が本当によく出てくる。それは、ヒロインのコ・ソンヒが演じるボンリョンが翁主になっているからだ。それだけに、ボンリョンが登場する場面では周囲の者たちが「翁主様」と連呼する。それゆえ、ドラマの中ではすっかり翁主がおなじみの言葉になった。
【写真】『風と雲と雨』ボンリョン役の女優コ・ソンヒはどんな人物なのか
朝鮮王朝において、翁主は王の正室以外から生まれた娘を意味する言葉だ。わかりやすく言えば、側室が産んだ王女なのだ。一方、国王の正室から生まれた娘は「公主(コンジュ)」と呼ばれる。
歴史を見ると、公主には有名な女性が多い。たとえば、朝鮮王朝で一番美しかったと言われる敬恵(キョンヘ)公主や、大地主として著名だった貞明(チョンミョン)公主などである。
その一方で、翁主では有名な人が少ない。やはり、正室から生まれた公主とは違って、側室から生まれた翁主は表舞台に出てくることが稀(まれ)なのだ。
そんな中でも、「史上最高の翁主」と呼ばれた女性がいた。
果たして、それは誰だろうか。
父親は21代王の英祖(ヨンジョ)だ。韓国時代劇に一番多く出てくる国王なので、英祖のことを知っている人が多いと思われるが、この国王には7人の翁主がいた。その中で四番目の和緩(ファワン)翁主は、ドラマ『イ・サン』でも悪女として描かれていて、歴史的にも評判がよくない。
反対に、最高の栄誉を得ているのが、英祖の最初の翁主だった和順(ファスン)翁主であった。
彼女がなぜ「史上最高の翁主」と称されたかというと、夫が亡くなった直後に自分も覚悟の断食をして自ら命を断ったからだ。
現代では「絶対に美談にしてはいけない話」なのだが、朝鮮王朝時代には「夫を亡くした女性の鑑(かがみ)」と称された。そういう女性は朝鮮王朝時代に「烈女」と尊称されて、後世まで名誉を讃えられたものだった。
『風と雲と雨』に登場するボンリョンも、もし実在していれば「烈女」と同じような称賛を受けた翁主であったことだろう。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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