主役のド・ギョンスが演じているのは世子(セジャ)のイ・ユルだ。このイ・ユルは全国で未婚者をすぐに結婚させるほどの権限を持っていた。それほど立場が強いのか、と疑問を持った視聴者も多いことだろう。そこで、世子の存在感について説明しよう。
朝鮮王朝で世子は国王の正式な後継者を指している。いわば、皇太子のことだ。
それでは、なぜ皇太子と言わずに世子と言うのだろうか。
それは、中国や朝鮮半島の慣例では、皇太子は皇帝の後継ぎで、世子は国王の後継ぎであるからだ。そして、朝鮮王朝は皇帝が君臨する中国に気兼ねして、自分たちのトップのことを国王と称していた。中国的な統治感覚では、国王は皇帝より格が一つ落ちるのである。
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そういう立場をわきまえて、朝鮮王朝は格下の国王を称し、後継ぎを皇太子ではなく世子と呼んでいるのだ。
それでも、世子は成人すると国王のナンバー2になる。国王に次ぐ権限を持ち、未婚の男女を強制的に結婚させるだけの権限を持っていた。そういう場面が『100日の郎君様』の第1話ではしっかり描かれていた。
次に、悪徳高官のキム・チャオンについて。
悪役としての凄みがあるチョ・ソンハが演じたキム・チャオンは左議政(チャイジョン)という設定だった。そこで、高官の役職について見てみよう。
朝鮮王朝の高官のトップは領議政(ヨンイジョン)だ。総理大臣に該当する。
そして、ナンバー2が2人いて左議政(チャイジョン)と右議政(ウイジョン)である。
以上の3人が官僚の最高峰として政治を動かしている。
とはいえ、朝鮮王朝では領議政が名誉職となって、実質的に左議政が政治を仕切っていることもあった。『100日の郎君様』はまさにそんな設定だった。
最後に庶民の結婚事情について。
朝鮮王朝時代は15歳くらいで法律的に結婚が許された。
そして、ほとんどの庶民は10代後半に結婚をするので、20歳過ぎても未婚というのは稀だった。『100日の郎君様』では20歳以上の未婚の男女を強制的に結婚させようとしていたが、話として本当に面白かった。
実際には親が強力に推し進めて10代後半の息子や娘を強制的に結婚させるので、国家が無理に庶民の結婚に介入する必要がなかった。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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